13. 希望
2005年 06月 20日
署に戻った村松は、早速ビデオをチェックし始めた。
「佐々木が帰って来たら驚くだろうな。」
心なしか少しテンションが上がっていた。何か見つけられそうな気がしていた。
「四人の周りの人物に、共通点はないのか?」
どのビデオも、ひとりでに歩いてホームの下に消えて行く、被害者の映像が映っているだけだった。
「どんな小さな事でもいいんだ。見つけろ。」
いつしか村松は自分に言い聞かせていた。そこへ佐々木が帰って来た。すぐに村松は、
「佐々木。今度の被害者も占いに凝ってたぜ。」
少し笑みを浮かべながら言った。
「本当ですか?それって、マジもんの共通点って事ですかね?」
佐々木もまた、興奮して言った。
「まだ分からんがな。お前の感が当たっているかもしれんぞ。ところで、他は何か分かったか?」
「いえ。他は何も。手掛かりありませんね。」
疲れた様に佐々木が答える。
「もう一度、ビデオと調書をチェックするんだ。きっと何かあるはずだ。今度は俺が調書を見てみる。」
そう言って、村松は調書をめくり始めた。
そんなに多くない調書とビデオ。時間も掛からずチェックは終わった。
「どうだ?何か怪しい事でもあったか?」
村松が尋ねる。
「いいえ。これといって共通人物もいませんし。やっぱり、占いか何かですかね?」
二人は煮詰まってきていた。
「そうだ、四つのモニターで同時に見てみましょうよ。何か分かるかも知れない。」
ふと思いつきで佐々木が言った。
「そんなんで何か分かるのか?」
疑問に思い村松は聞いた。
「分かりませんけど、何かした方がいいでしょう?」
佐々木も思いつきで言ったので、これといった答えは持ち合わせていなかった。
早速モニターを用意して、ビデオを再生する。
「何だか、何度も飛び込みの瞬間を見るのって、気分が悪いですね。」
佐々木が滅入った様に言う。
「仕事だから仕方ないんだよ。」
もう何十回とこのビデオを見た村松が、諦めた様子で答える。
「ん?もう一度全部戻してくれ。」
村松が慌てて言った。
「何かあったんですか?」
佐々木も慌ててビデオを戻しながら聞いた。
「ちょっと、ここ見てみろ。」
村松が指差したのは、被害者の手だった。
「え、どこですか?手ですか?」
佐々木も身を乗り出して、被害者の手を注視した。
「ほら、見てみろ。これも、これも。これはちょっと見難いが。ほら、これも。三人ははっきり見えるだろ?」
村松は興奮を抑えきれない様子だった。さすがに佐々木も気付いた。
「あ!みんな手に携帯を持っている。」
そう、四人中三人は、はっきり手に携帯が見て取れるのだ。残念ながら、一人はカメラの角度の関係で見えなかった。
「今日の夕方の事故のビデオが来れば、確信が持てそうだぞ。」
まだほんの少ししか謎が解けていないが、もう一つのビデオに、希望の光がある事を信じていた。
「佐々木が帰って来たら驚くだろうな。」
心なしか少しテンションが上がっていた。何か見つけられそうな気がしていた。
「四人の周りの人物に、共通点はないのか?」
どのビデオも、ひとりでに歩いてホームの下に消えて行く、被害者の映像が映っているだけだった。
「どんな小さな事でもいいんだ。見つけろ。」
いつしか村松は自分に言い聞かせていた。そこへ佐々木が帰って来た。すぐに村松は、
「佐々木。今度の被害者も占いに凝ってたぜ。」
少し笑みを浮かべながら言った。
「本当ですか?それって、マジもんの共通点って事ですかね?」
佐々木もまた、興奮して言った。
「まだ分からんがな。お前の感が当たっているかもしれんぞ。ところで、他は何か分かったか?」
「いえ。他は何も。手掛かりありませんね。」
疲れた様に佐々木が答える。
「もう一度、ビデオと調書をチェックするんだ。きっと何かあるはずだ。今度は俺が調書を見てみる。」
そう言って、村松は調書をめくり始めた。
そんなに多くない調書とビデオ。時間も掛からずチェックは終わった。
「どうだ?何か怪しい事でもあったか?」
村松が尋ねる。
「いいえ。これといって共通人物もいませんし。やっぱり、占いか何かですかね?」
二人は煮詰まってきていた。
「そうだ、四つのモニターで同時に見てみましょうよ。何か分かるかも知れない。」
ふと思いつきで佐々木が言った。
「そんなんで何か分かるのか?」
疑問に思い村松は聞いた。
「分かりませんけど、何かした方がいいでしょう?」
佐々木も思いつきで言ったので、これといった答えは持ち合わせていなかった。
早速モニターを用意して、ビデオを再生する。
「何だか、何度も飛び込みの瞬間を見るのって、気分が悪いですね。」
佐々木が滅入った様に言う。
「仕事だから仕方ないんだよ。」
もう何十回とこのビデオを見た村松が、諦めた様子で答える。
「ん?もう一度全部戻してくれ。」
村松が慌てて言った。
「何かあったんですか?」
佐々木も慌ててビデオを戻しながら聞いた。
「ちょっと、ここ見てみろ。」
村松が指差したのは、被害者の手だった。
「え、どこですか?手ですか?」
佐々木も身を乗り出して、被害者の手を注視した。
「ほら、見てみろ。これも、これも。これはちょっと見難いが。ほら、これも。三人ははっきり見えるだろ?」
村松は興奮を抑えきれない様子だった。さすがに佐々木も気付いた。
「あ!みんな手に携帯を持っている。」
そう、四人中三人は、はっきり手に携帯が見て取れるのだ。残念ながら、一人はカメラの角度の関係で見えなかった。
「今日の夕方の事故のビデオが来れば、確信が持てそうだぞ。」
まだほんの少ししか謎が解けていないが、もう一つのビデオに、希望の光がある事を信じていた。
by deshi-mie
| 2005-06-20 13:18
| 小説 第ニ章