パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
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<   2005年 06月 ( 51 )   > この月の画像一覧

僕デシえもん。
僕達犬に朗報だよ! (^。^)b

今日、新聞見てたら、こんな記事が載ってたよ。

夏の暑さで飼い犬が体調を崩しやすい日を予報する「犬の夏バテ予報」を、日本気象協会とドッグフードを販売するマスターフーズリミテッド社が7月1日から、インターネットで提供する。

気温や湿度から人間より暑さに弱い犬の“不快指数”を計算、外出の可否や体調管理法もアドバイスする。

獣医師の診察データや人間の不快指数をもとに、犬が熱中症になる恐れがある基準値を気温22度、湿度60%以上(人間は気温26度、湿度60%以上)と算出。47都道府県の1時間ごとの気温変化を24時間先まで予測し、基準値以下なら「ほぼ安全」、それ以上は「注意」「警戒」「厳重警戒」という計4ランクで示す。

だって。 (^O^)

予報は7月1日から8月31日まで、マスターフーズ社が発売する「ペディグリー」のホームページ(www.pedigree‐otenki.jp)で提供されるって。

僕達は、足の裏(肉球のトコね)でしか汗をかかないから、とっても暑いんだ。(;´・`)
人間より、とっても暑がりなんだよ。
クールビズも出来ないし・・・。28度なんてとんでもない!!
みんなも飼い主に教えてあげてね。d(^v^)b~♪

お昼間僕達がぐて~ってしてるのも分かるでしょ?
お仕事行く前に、クーラー掛けて行ってくれないかなぁ~。(´~`;)
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by deshi-mie | 2005-06-22 10:48 | デシ君

飼い主の誕生日

あたしミィ。

今日は飼い主のshiiちゃんの誕生日なの。
ハッピーバイスディ~ d(^v^)b~♪ パチパチパチ♪

あたしとデシ君も何かしてあげたいケド。。。
何にも出来ないから、愛想良く、元気におかえりのワンワン言いましょ~。

でも、20も後半になると、あまり嬉しくないらしい・・・。
今日は彼氏が料理を作るらしいが・・・。 ( ’▽’)
無事に出来るんでしょうか?

ま~だ、何作るか決めてないみたいだけど。。。 (^ _ ^ヾ

それにしても、毎日あつい(汗っ汗っ汗っ)
お昼間は飼い主がいないから、窓が閉めてあるのぉ。
去年は、ちっちゃな扇風機があったんだけどなぁ~ (;´・`)

昨日は久々にゲージから出してもらっちゃた。
デシ君や飼い主の2人といっぱい遊んだよ。
でも相変わらず、最後はデシ君が部屋の中でおしっこしちゃって強制退去させられてた。

まったくバカねぇ~。デシ君てば。
いい子にしてたらもっと遊べたのにぃ~。
あたしまで一緒に戻されちゃったじゃない。 (ノ><)ノ
もっと飼い主に愛想振りまかないとと仲良くしないと、生きてけないよぉ。

またボール遊びしたいなぁ~ (^。^)b
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by deshi-mie | 2005-06-21 14:21 | パダワンの独り言

32. ドラマ

翌日、警察発表で詳細が分かった。

動機は木村が在籍していた会社の娘と結婚して、会社をのっとるつもりだったが、ジャパン・データ・ソフトの息子と縁談の話があり、それを邪魔する為だった事。
サブリミナルのドラマの主題歌は、番組終了後は殆ど着メロから姿を消すと思い、確率的に、少人数の人間が事故に遭えば、十分噂だけでジャパン・データ・ソフトにダメージを与えられると考え、サブリミナルを仕掛ける時期を番組終了約一ヶ月に設定した事。
こんなに長期間、大勢の人が死ぬのは予想外だった事。
それは、ちょくちょく着メロを変えるのが面倒くさいと思っている人達、ほんの一部の一発屋のファン達によって引き起こされていた。

しかし木村は、本当の動機を言っていなかった。それは、友助を放したく無かった事だった。
友助を本当に愛していたのだ。
正直言って、社長の娘でなかったら、由香は妬ましい存在だった。殺してでも友助を取り戻したかった。
しかし、金と名声と男を全て満たす方法は、木村には他に思い付かなかった。
皮肉な事に、『死』のメッセージは一部の人々に届いたが、友助に未松の思いは届かなかった。

友助が見た免許証は、旧姓に戻した際に、裏に警察によって変更手続きが行われていた。

友助が心配する携帯。それは証拠品として、ビニールに入れられ保管されていた。
そして、ウイルスが全てを壊しきっていた。

逮捕から五日後、過去のジャパン・データ・ソフトをクビになった、間堀殺しも自供した。
過去を辿って行くと、間堀との接点が出てきたからだ。
あの時も名声欲しさにジャパン・データ・ソフトの情報を間堀に盗ませたが、この事が明るみに出るとまずい為、踏み切りで間堀を突き飛ばし、自殺に見せかけたのだった。
その時の情報のお陰でMimatsu@の社長に気に入られ、婿入りする事が出来た。
しかし、欲望が衰える事を知らない木村は、次のターゲットに南城を選んだ。
さりげなく南城に近づき、多額の契約金と給与を約束され、ヘッドハンティングされたのである。当然、Mimatsu@の社長は怒り、娘と別れさせた。
木村がチーフをしていた開発も、ベースはMimatsu@時代の研究だった。

ちなみに、由香が木村から貰ったDVDも証拠品と言う事で調べられた結果、サブリミナルを使い、自分の写真やメッセージで、由香の気を自分に向かせる細工がしてあった。
当然、潜在意識レベルでメッセージとリンクしていないので、効果はなかった。

一方友助は、全てが片付き平和な日々を送っていた。相変わらず亜由美はただのメル友だった。結局、社長の成田の思惑通り、今回の噂で南城の所の契約相手が、ジャパン・データ・ソフト以外いなくなり、めでたく契約更新となった。しかも格安で。
しかしお互い様と言う事で、南城の所も予定通り、資金面でジャパン・データ・ソフトがバックアップしてくれるので助かっていた。
ジャパン・データ・ソフトも噂が携帯のせいでは無いと誤解がはれ、元の業務に戻りつつあった。

村松達もまた、次々と起こる犯罪の捜査の為走り回っていた。

友助と由香の仲も急接近した。そしてついに、来年結婚する事が決まった。


「世間を恐怖に陥れた噂は消滅した。」


黒のバックに赤い文字で書かれた終わりを告げる言葉。
次の瞬間、エンディングのテーマソングと共に、出演者等のテロップが上がってきた。

テレビを見ているカップル。
「とうとう最終回か。なかなか面白かったな。」
男が彼女に言う。
「そうねぇ。終わっちゃったね。来週から何観ようか?」
彼女が答える。続けて彼女が、
「でも、木村と未松が同一人物だったとはね。しかも未松は友助を愛してたなんて、あり得なーい。」
「だよなー。しっかし、これ観終わると、いっつも腹へるよな。もしかしてサブリミナル?」
そう言って笑う二人。
「あり得ないよ。それじゃ、コンビに行こうか?」
「おお、行こうぜ。」
そう言って二人はコンビニへ向かった。
何故かいつも行く近くのコンビにではなく、その先にある別のコンビニへ・・・。

誰もがサブリミナルに掛かる要素を持っている。
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by deshi-mie | 2005-06-21 12:24 | 小説 最終章

31. 心残り 

ホテルを見張って二日目。
警察も、木村の経歴から、以前は未松という名字だった事が分かり、ホテルに張り込んでいる警官の証言で、村松達もホテルに向かっていた。
呪いのサイトの仕組みも調査の結果明らかになってきた。
警察の心理学担当の予想はこうである。
心に悩みを持つ人は、占いに頼る事がある。この先の人生や恋愛、仕事。不特定多数の人が見るサイトなので、その答えは必ずしも悪い物ばかりでは無い。誰もが見る、オープニングとメニュー画面。そこに音と画像のサブリミナルがダブルで仕掛けられており、このサイト利用者全員に暗示が掛けられていた。
しかし、潜在意識とリンクしなければ、効果は期待できない。つまり「死」である。良い答えを聞けば気分も良いが、その答えが悪かったら・・・。死んでしまいたい程悩んでいた人で、尚且つ、隠されていた主題歌を耳にしなければ行動に移さない様になっている。
リンクしていても、暗示が弱い時はこのサイトを見ながら主題歌を聴かなければ行動に移し難いが、このサイトの常習者は、主題歌を聞くだけで行動に移る。
最初の頃、携帯を見ながら被害者になる人が多かったのは、この為だった。
確立は低いが、携帯の登録数から考えると、今回の被害者の数もあり得ない数字ではないというものだった。
さらに、この最先端の通信技術で、リアリティー溢れる音と映像が、サブリミナル効果にとって有効だった。しかし何故、あの主題歌が選ばれたのかは不明だった。思いつきか、それとも何か策があっての事か。

一方友助は、昨日考え抜いて、ある動画を撮った。
部屋で友助が服を脱いで行き、全裸で色々なポーズをとる動画だった。
一人でこんな事をしていると、妙な羞恥心が出てくるが、未松の携帯を壊す為と言い聞かせた。そして肝心のウイルスはというと、由香に貰っていた。由香の会社では、当然ウイルス除去ソフトも扱っている。その為のサンプルも多数あった。
社のアイドルであり、社長の娘である由香がスッタッフから何らかの理由を付けて、データを持ち出すのは他愛無い事だった。
友助は、由香にはウイルスの研究の為と言って貰った。未だに南城家では、友助が携帯ショップで働いている事など知る由も無かった。
見合いの日以来、何度か逢っているが、いつも遊びの事で、仕事の話など全くしない友助だった。

何故ウイルスを送るだけではいけないのか?動画が必要なのか?それは、このウイルスが仕組まれたデータが保存される事により、それから徐々に携帯の中のデータを壊していくウイルスだからである。
大きい容量のデータと言えば、動画が一般的で疑われ難いし、保存後すぐに再生してもらえれば、ウイルス除去ソフトを起動させるのを、しばらくは忘れるかもしれない。
一つ不安があるのは、ウイルスが入った自分の動画が残ってしまわないかと言う事である。これが残っては実も蓋も無い。ウイルスが動き出してから、約1時間で全てのデータを壊し、自滅するウイルスだが、その前に、ウイルス除去ソフトが動き出したら、残りのデータは無事かも知れない。
もしかすると、重要な部分が壊されて、残りも機能しないかも知れない。しかし、そこは運に任せるしか無かった。その事も考えて、動画は約40分ある。
何故40分?1時間の方が安全では?携帯用の動画圧縮ソフトが無い友助からのデータは、未松の携帯では最大で40分のデータしか受信する事が出来ないからだ。由香にソフトを頼むのを忘れていた。

友助は未松にメールを打った。
「お久しぶりです。この前は失礼しました。やっぱりお金が必要になりました。バイト続けさせて下さい。これは、僕の誠意です。今日の夜まで、今から送る動画を見て我慢していて下さい。パソコンから長編の動画を送りますので、ウイルスソフトが動いていたら、止めて下さい。一旦、保存してから見ないと、通信の関係でデータが壊れるかも知れません。五分後に送信します。それでは夜に。ロビーでいつもの格好でお待ちしています。」
未松から返事が来た。
「やっと分かってくれたか。私はもうホテルの部屋にいる。仕事が終わったら来てくれ。動画楽しみにしている。」
友助は賞でも貰ったかの様に喜び、はしゃいだ。

ホテルには警察が集まっていた。正面、裏、外、いたる所に警官が配備されていた。村松が佐々木他数人を連れてエレベーターに乗る。やっと木村がフロントに用事を頼んだのである。不必要に部屋を訪ねては疑われる為、村松達はこの瞬間を待っていた。
「いよいよ終わりですね。」佐々木が笑みを浮べて言った。
「まだ逮捕するまでは気を抜くな。」最後の大詰めで、村松にも気合が入っていた。エレベーターが到着した。大勢だがゆっくり静かに廊下を歩く男達。一緒に連れて来たボーイをドアの前に立たせる。ドラマのワンシーンの様だ。ドラマと同じ様に、しかしそれ以上に緊張がはしる。

ボーイがノックする。
「すみません。フロントですが。タオルの替えをお持ち致しました。」
滞在中、木村は殆ど部屋から出ない為、ルームサービスが入る時間が無いのだ。必要な時、必要な物を頼んでいた。
ドアが開きボーイを中に入れる。その時村松が、ボーイの為に後ろからドアを抑えている、木村の腕を掴んだ。
急な事に驚き、何も出来ない木村。反対の手には携帯を握っていたが、驚きのあまり絨毯の上に落としてしまった。落とされた携帯では、例の動画が再生されていた。
警察の一人が携帯を拾い、全裸の男が写っている映像に、何だこれと言うような顔で、動画を止めた。木村は抵抗する事無く連行された。

心残りと言えば、友助との待ち合わせだった。もちろん友助は全く来る気は無いが・・・。
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by deshi-mie | 2005-06-21 12:10 | 小説 第三章

30. ウイルス

携帯ショップに着メロが響いた。友助の携帯だった。
メールである。送信者は未松。
「久しぶりに少し逢わないか?占い師の言う通りになっただろう?呪いだよ。」
まだ諦めてなかったのかよ、と思い、友助は返事を打った。
「前回、もう逢いませんと言ってあります。もう連絡して来ないで下さい。それより、もしかしたら、あなたが犯人なんですか?」
友助は率直に聞いてみた。数分後返事が返って来た。
「君はニュースを見ていないのかい?指名手配の容疑者の名前は木村だろ。私は君も知っているが未松だ。それより、今晩どうだ?」
そう、未松の言う通り、木村は容疑者という形でとうとう全国に指名手配されていた。友助は、その後のメールは無視していた。いつもは金に負ける友助だったが、由香がいることもあった。前回未松が金をくれなかったのも、理由の一つだった。またメールが入った。今度は亜由美だった。タイトルは「新情報だよ」だった。興味津々で友助はメールを読み始めた。

警察の捜査線上にも、幾つかホテルの名前が挙がっていた。そう、木村が滞在しているホテルも含まれていた。木村の部屋に残された物の中に、幾つかのホテルからDMがきていた。
既に木村が泊まっているホテルにも、私服の警官二人がホテルのフロントで話を聞いていた。そこへ数人のお客と一緒にハンティング帽をかぶり、サングラスをした男が降りてきた。その男は、フロントにいる男達が警察であると直感した様子だった。急に向きを変えて再びエレベーターの方へ歩いて行く。周りを見ていた警官の一人がその行動に気付く。
「すみません。あの方はここに泊っている方ですか?」
男を指差してフロントに聞く。
「ええ、あの方は以前から良くご利用頂いております方です。」
「良く来るんですか?この写真の男に似てません?」
そう言って写真を見せる。
「似てると言えば似てますが、お名前も木村様では御座いませんが。」
警官は返す。
「偽名の可能性もあります。名前を教えて頂けますか?」
「もう、当店をご利用になられまして、一、二年になりますので、偽名と言う事は無いと思われますが。未松様とこちらでは伺っております。」
フロントは答えた。その男は未松だった。警官は続けた。
「何をされている方ですか?」
フロントは言い辛そうだった。
「こちらでは、あまりその様なプライバシーに関するご質問にはお答え出来かねますが、コンピューター関連のMimatsu@の専務様と伺っております。」
捜査なので、仕方なく答えるフロント。違ったかという様な表情の警官二人。
「それじゃ、何かありましたら、御連絡下さい。」
そう言って、警官達は、ロビーで見張りを続けた。

一方、亜由美からのメールを読む友助。
「新情報です。この情報は前の会社の仲が良かった先輩を、会社の前で待ち伏せて聞いたのよ。苦労したんだから。あ、もちろん女の人よ。だから、今度は必ず食事に誘ってね。それで、新情報っていうのは、」
友助は目を疑った。ばかな。あり得ないと。
「新情報っていうのは、未松さんは現在独身です!と、言う事は、養子だった訳だから会社も辞めてました。半分クビ状態だったみたいよ。本当かどうか分からないけど、未松さんの浮気が原因みたい。さらには旧姓に戻ってました。今の苗字は木村さんでした。どう?なかなか良く調べてるでしょう?それじゃ、友助君。約束守ってね。バイバイ。」
約束なんてしてないじゃん。友助は思ったが、そんな事どうでもいい問題だった。
やはり、未松が犯人だと思える事実がそこにあった。その犯人かも知れない人物とメールをしている自分。もし未松が逮捕されたら、携帯の履歴か何かで、自分の事が分かってしまうかも知れない。週刊誌の写真付きの見出しが頭を過ぎる。
「緊急入手!呪いのサイトの犯人の素顔 実は同性愛者!相手の男性が赤裸々告白!!」
友助は頭を書きまくった。
いかん。ホテルのボーイにも、過去何度かメモを持ってきて貰っている。でも、いつもサングラスしてたしな。しかし、こういうのって、匿名とか写真のモザイクとかで誤魔化しても、インターネットとかで、すぐに出ちゃうんだよな。もう、俺も終わりだ。
やっぱりあいつのせいだ!友助の頭の中では、昔の貢いだ女が指でピースサインをしていた。携帯だけでも何とかならないかな。友助は考えた。物凄く考えた。何も浮かばなかった。

そんな様子を圭太が見ていた。
「お前さっきから何悩んでんの?はたから見てたら、すっげー喜怒哀楽が激しい奴みたいだぜ。」圭太が笑いながら近づいてきた。
「実はな、面倒な女がいてね、メールの内容で脅迫じゃないけど、ストーカーみたいな感じ。」
未松の事を女に例えて話す友助。
「また何か変なメールでも送ったんじゃないの?で、何か良く分かんないけど、それでどうしたいの?」
「いやね、相手のメールの内容とかをさ、逢わないで消せないかなぁなんてね。」
「そりゃ無理だろ。漫画じゃないんだから。でも携帯の機能を麻痺させる事は出来るぜ。」
友助は藁にもしがみつく心境だった。
「え、まじで?なにそれ?どうすんの?」
急に圭太に顔を近づける友助。
「パソコンのウイルスさ。携帯にウイルスを送ってやるんだよ。ただし、うちの携帯しかだめだぜ。他んトコのは基本的にパソコンと違って、ただの携帯だからな。うちの中身はパソコンその物と言っても過言じゃないからね。」
「そうなんだ。うちのは凄いんだ。」
友助は知らなかった。
「お前、本当にうちの社長の息子かよ?でも、ウイルスソフトが常駐してるからな、まずはそいつを解除してもらわないと駄目だな。」
天国から地獄に落とされる友助。そんなの外してくださいって言う方が怪しい。
「それって、どうすれば外して貰えるかな?」
いい返事が返って来ないと分かっていても、自分では何もひらめかない友助は聞いた。
「普通は頼まれても外さないな。しいて言えば。」
「しいて言えば?」
友助がまたも近くに寄る。
「よっぽど相手が見たいと思っている画像を、パソコンから送るから外してってお願いするとか。普通は携帯の写メで送って言われるけど、画像が大きいとか、動画が長いとか言って。」
そこで友助が突っ込む。
「そんなの無理だよ。俺でも分かるぜ。だってうちの携帯の売りは、大容量だろ?普通に送れるじゃん。」
圭太は呆れた顔で見つめる。
「お前、やっぱ息子じゃないな。って言うより、ここの社員じゃないだろ?大容量通信ってのは、メニュー内のサイトからの情報配信の事だよ。受け取る方。音楽とか映画とか。携帯端末側から送れるのは、せいぜいそこらの携帯の、3倍位のデータだよ。」
またまた尊敬の眼差しで圭太を見つめる友助。
「それじゃ、そのウイルス俺にくれよ。」
友助が嬉しそうに言う。
「ばーか。そんなの俺が持ってる訳ないだろ。」
一体今までの話はなんだったんだ。友助はそんな気分だった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 11:47 | 小説 第三章

29.嘘

昼のワイドショー。噂のサイトの社員であるという人物が、よくあるモザイクと変換された音声で出演していた。
高めのトーンに変換された声で、彼は淡々と話していく。知っている人が見れば、ちょっとした仕草や話し方、体の特徴で分かりそうな、いつものモザイク。

「野村じゃないか。」
木村もこのテレビをホテルの部屋で見ていた。そして、木村も気付いた。
「何で出てるんだ?」
ただの一社員にすぎない野村が、何故テレビに出ているのか疑問だった。その後のインタビューで、木村は全てが分かった。
「そうか、昨日の電話はそういう事か。」
悔しそうに木村が呟く。自分が探されている。この事実に直面した木村は、昨日の電話で沖縄にいるといった事が、不幸中の幸いであると思っていた。
この後、どうするべきか考えていた。まだ世間は、このテレビの事が自分だとは分からない。
名前も写真も出ていない、今しかここを離れるチャンスは無いと思っていた。
しかし、行く当ても無い。駅や飛行場はドラマ等でも良く見付かる場所だ。木村はテレビに影響されやすい性格だった。
金は今の会社に入る時の契約金が幾らでもある。やはり、もう少しこのホテルに居る方が安全だと考えた。
その頃、警察でも動きがあった。令状が出たのである。早速、自宅や会社の持ち物が調べられた。家には特殊な装置もあり、DVDに映像や音を加工して記録する、ソフトや機材があった。
自宅でもサブリミナル効果を使ったDVDを作成していたようだった。パソコンの中のデータは、消去されていた。もしかすると、データだけ持ち出した後、消去したのかも知れない。
どのような物を作っていたのかは不明だった。

村松達は、情報処理部からの電話で、また何か見付かったと連絡を受けていた。急いで向かう二人。今度は音響の担当者が待っていた。
「こちらもオープニングにサブリミナルが使われていました。」
そう言って音を聞かせた。CDの様な、そしてバーチャルサラウンドの迫力ある音。これもただ聴いているだけでは何も分からなかった。映像と同じ様に、分かりやすく解析内容を説明して貰う。

「このテーマ曲の中に、メッセージが入っていました。メインの曲と分離しましたので、聴いて下さい。」
そう言って、スイッチを入れた。先々月までテレビで放送されていた、人気ドラマの主題歌だった。と言っても、これには歌は入っていなかった。サビの部分の曲のみである。
人気グループを起用せず、オーディションで主題歌を決定したこの曲は、ドラマ人気もありブレイクした。
最近ではドラマも終わり、人気曲のランキングからも外れていた。いわゆる、一発屋であった。今回の事件では、その曲のサビの部分だけが使われていた。
サビが一回終わる度に、「聴いたら死ぬ時。聴いたら死ぬ時」と木村本人であると思われる声で録音されていた。サビが約十四秒だから、オープニングの時間で、二回流れる計算だ。
この声が、メインの音に練りこまれる様に挿入されており、意識的に聞く事はほとんど出来ない。
「実は、今回はオープニングだけではなく、メニュー画面のカテゴリーを選択するまでの間、メニュー画面でこの音がB.G.Mと一緒に流されていました。」
そう、ダブルトラップだった。サブリミナル効果をより浸透させる為、視覚と聴覚を使って、潜在意識に強く訴えたのであった。しかし、通常これだけでは効果が薄いと考えられる。潜在意識とリンクする事がないからだ。
映画の飲料水も、オリンピックの選手も、飲みたい、勝ちたいという思いがリンクして行動に移したにすぎない。それならば、死にたいと思っていたのか?と言う事になる。そもそも、この曲は何を意味するのか?はっと村松は思い出した。
「この曲!前田さんの携帯の着メロだ。」
皆が振り返った。
村松は、以前前田に会った時の、前田の携帯の着メロを思い出した。
「もしかすると、この曲が流れたら自殺してしまうんじゃ。」
佐々木の推理は決して的外れでは無かった。しかし、それだけで人が死ぬとは思えなかった。

犯行の仕組みが明らかになって行く。村松はこの事件の終わりが近いと感じていた。
「よし、木村を探すぞ。」
未だ居場所が分からない木村。しかし、村松には自信があった。南城から木村が沖縄にいると言った事を聞いていたからだった。沖縄。それは木村が言った嘘である。しかし既に警察は、沖縄での捜査に力を入れていた。木村にとっては好都合であった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 11:19 | 小説 第三章

28. 社外秘

村松達は木村の家にいた。当然ながら彼はいなかった。
一体何処へ行ったのだろうか。こういう時は大体実家にも近づかないのが当たり前である。
会社でもあまり親しい友人が居なかった為、村松達には、探すあてが無かった。
サブリミナルという、特殊な事件だけに、今後、再度犯行に及ぶ可能性も少ない。それに、まだ容疑者であって、犯人と断定出来た訳でも無いのだ。本当に休暇を取っているだけかも知れない。
「今回の情報は最有力だったのに、もうネタ切れか。」
佐々木が意気消沈して言った。
「よし、何とか令状を取って、木村の近辺を捜査するんだ。」
今度こそと、何度も行き詰まった村松が気合を入れる。
二人はまず、木村の交友関係から何かを掴もうと、捜査を始めた。

その頃木村は、都内の有名高級ホテルにいた。都内でトップのこのホテル。以前、友助が未松との待ち合わせに使ったホテルであった。そこは、リゾート感覚に包まれ、言ってみれば、木村にとってのオアシスだった。木村はたまにここで、心と体を癒していた。
しかし今回は、最初にサイトの事がマスコミに報道されてから、身の危険を感じて来ていたのだった。
「realのサイトに絞ったのはまずかったな。」
木村はぼそっと呟いた。あのシステムがあってこその今回の計画だったが、つい本命のrealだけを狙ってしまった。事故が増えれば証拠も増え、サイトが怪しまれるのは当然だった。
しかも、オープニング画像が怪しまれれば、関わった人間は自分しか居ない。
しかし、こんなに早くばれてしまうのは木村には以外だった。そして、こんなにも長期間事件が続くのも予定外だった。結果、多数の人が死亡する事件へと発展してしまった。
「すぐに終わるように時期を選んだんだが・・・。」
木村には、今でも続いている事故が信じられない様子だった。
その反面、日本の警察もたいしたもんだと、妙に関心する木村。
本当はそれどころではないが、テレビでも自分の名前が出て来ない以上、自分が追われているのかも疑問だった。

木村は会社に電話してみる事にした。自分の部署の、部下の携帯に電話を掛ける。
電話に出た部下は、いつもと変わらない様子だった。
「あ、それならいいんだ。クライアントから連絡が無かったか心配だったんだ。」
仕事が気になる振りをして電話を切った。何とも無い様子に木村は安心した。本当にバカンスにでも行こうかと思っていた。
しかし会社では、警察からの指導により、木村を探している事は社員全員言ってはならないと通達が来ていた。木村は自分の居場所を沖縄だと言っていた。国内でバカンスは、やっぱり沖縄だろうとは木村の勝手な考えである。お土産もそこら辺で売っているので好都合だと考えた。
社内でも持ち切りのこの話題は、当然社外秘である。
しかし、どの会社にも一人位はいるであろう、マスコミに金で釣られる人間が、こっそりと取材を受けていた。
そしてそれは、明日、独占インタビューという形で放送される事となった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 11:09 | 小説 第三章

27. 休暇

村松たちは南城が経営する会社「サザンキャッスル」に着いた。
何とも単純なラブホテルの様なネーミングである。

またもや決まりきった挨拶の後、村松が質問する。
「あの噂のサイトを製作された方はこちらにいらっしゃるのでしょうか?」
南城は最近急に訪れた危機に、少々疲れ気味だった。
「ええ、おりますが。その製作チームのチーフは本日より日曜日まで休暇を取っております。」
南城の答えに佐々木が返す。
「この会社がピンチの時にですか?」
「彼はこの所忙しかったもので、この件がマスコミに取り上げられてから仕事の依頼も減ってますので、それならば今のうちにと。」
「なるほど。それでは別の方でも宜しいですが。」
村松が言った。
「開発に関わった者は数十名おりますが、担当があります。どの部門かによりますが、動画・音響・通信等。全員呼んだ方が宜しいですか?」
南城の質問に佐々木が答える。
「オープニングの画像と音を担当した方をお願いします。」
佐々木は本命を呼んで貰う事にした。南城の表情が変わった。
「オープニング?何故オープニングなのでしょう?」
南城も何故だか分からない様子。佐々木が言う。
「これはまだ未発表ですが、オープニングの動画の中に、サブリミナル効果が発見されました。現在、音は今解析中です。」
佐々木の説明に、南城はまさかと言う表情だ。
「サブリミナルですか?オープニングに?まさか!彼がそんな事をするはずが無い。」
慌てて取り乱す南城。日頃から目を掛けていた木村の事だけに、南城はこの事実を受け入れる事が出来なかった。
「その彼を呼んで頂けますか?」
村松が言った。
「その彼がチーフなんです。」
村松たちは顔を見合わせた。
「彼の名前とか住所を教えて貰えますか?」
南城は娘の由香に調べさせ、村松達に渡した。

「もう彼は帰って来ないでしょうね。」
佐々木は南城に言った。そして二人は木村の家へ向かった。
「家には居ないでしょうね。」
佐々木が言う。
「多分な。署にも連絡しておけ。」
村松は事件解決の糸口が見付かった事で、少しほっとした。毎日見えない敵を追っていた村松にとって、ここ最近では久しぶりの事であった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 11:02 | 小説 第三章

26. 効果

朝早く、村松は被害者の同僚の会社にいた。
応接室に通された村松は、出されたコーヒーを飲んでいた。いつも朝はお茶の村松は、朝からコーヒーなんていつ以来だろうと考えていた。
そこへ、ノックの音がし同僚が入って来た。まだ、事故のショックから抜けていない表情だった。それは、事故当日に会った村松に再会した事で、その時の事が思い出されたからかも知れない。

「だいぶ落ち着きましたか?」
村松が挨拶の後、声を掛ける。同僚は返事も無しに首を横に振った。
「ええっと、お名前は前田さんでしたね。」
調書を見ながら村松が話す。
「色々と調査してみたんですが、まだこれらの事故の関連性が見付からなくてですね、もう一度全てを見直してみようと言う事になったんですよ。」
これまでの経緯を前田に話す。
「ビデオを見て気付いたんですが、事故直前、前田さんは電話をしていますよね?」
前田が顔を上げて答えた。
「ええ。でも、私が電話に出て、もしもしって言った瞬間、もうあいつが歩き出したんで、私は急な事にそっちに気を取られて何も話していないんです。」
「電話が掛かって来たんですね?」
「ええ、そうです。掛かって来ました。会社からですが。すみません、電話が何か関係あるのでしょうか?」前田は疑問に思い聞いてみた。
「いえ別に特別どうって訳ではありません。前田さんもご存知の事と思いますが、皆さん携帯を持って亡くなっていらっしゃるもので、一緒に居た前田さんは何故大丈夫だったのかと思いまして。それが解決の糸口になればと。」
村松はいらぬ詮索をされないように話した。それから十分程で話は終わった。二人で応接室を出て、挨拶を交わした瞬間、前田の携帯が鳴った。
「あ、すいません。それじゃ、これで。」
立ち去りながら、急いでポケットから携帯を取り出して話す前田。村松はその後ろ姿を見つめていた。

思い違いだった。ただの電話だった。考えてみれば、これだけ携帯が普及しているのだから、事故現場で電話をしている人が居てもおかしくは無いのだ。しかし、村松は妙に引っかかっていた。世間でサイトが騒がれてから、事故は減っていた。周りの人々も気に掛けているようで、不自然に前に歩いて行く人に声を掛け、未然に事故を防いでいた。
しかし、不幸にも助からない人々も少なからず居た。助かった人たちの共通の事は、何も覚えていない事だった。全く無意識のうちに歩いていたのだと。
確実な事は、その全員があのサイトに登録していた。だが、噂の事で、全員が退会していた事も事実であった。一度登録をすれば、退会しても呪いは続くと言う事なのか?

佐々木から連絡が入った。処理部で何か分かったと。村松は急いで向かった。
佐々木は先に着いていた。
「警部。これで人が死ぬとは思えませんが、これは何かの手掛かりになると思いますよ。」
そう言って、画像処理部へ案内した。いくつものモニターや機材。村松にとっては、あまり居心地の良い部屋ではなかった。
「それで、何がわかったんだ?」
早速村松が聞く。
「これは、サブリミナル効果です。」
職員が答える。
「サブリ・・・」
村松には分からなかった。
「サブリミナル効果です。」
職員は、村松に詳しく説明した。
サブリミナル効果とは、人の意識のレベルでは認識されないが、潜在意識に届くように、特殊な音や映像を使って潜在意識を刺激する手法である。
例えば、海外での実際の話だが、ある映画の途中に、人の目では認識出来ない程短い時間、一秒の何十分の一程の時間、飲料水の画像を一瞬だけ入れると、映画を見終わった人達の何人かは、この飲料水を購入するというものだ。
また、オリンピックの選手の精神向上等で、サブリミナル効果を用いたB.G.Mが使われている事もある。海外ではサブリミナルを使った宣伝会社が多数存在すると言う。
しかし、実際この様な効果で、人が無意識に行動すると言う事はほとんど証明されていない。よほど集中して映像や音楽を聴き、尚且つ、メッセージが自分の潜在意識に呼びかける物でなければ、ほとんど効果がないと言われている。
しかし、逆に言えば、全てが当てはまれば、出来ない事はないのである。説明を聞いた村松は、ほとんど理解出来なかった。何となく分かった程度であった。
「それじゃ、今回の事故はこれでは不可能だと?」
村松が聞いた。
「ええ。これだけでは無理と言うか、不可能ですね。被害者全員が共通している事なんて占い位でしょう?しかし、メッセージ自体は死を表しています。見てみますか?」
そう言ってモニターに村松を呼んだ。その映像とは、以外にオープニングの映像だった。あの携帯離れした映像の途中に、ところ所画像が入っていると言う。
「ご覧になっても分からないでしょう?画像を集めてみました。全部で三点です。」
そう言って画像を見せた。最初は文字で「死ぬ」。そして電車の写真。最後に水泳の飛び込みシーンの写真だった。村松は聞いた。
「確かに今回の事故と関連ありそうですが、私にはとてもこれだけで、自殺なんかするはずないと思うのですが。素人考えですが。」
佐々木もそう思っていた。
「確かに先程説明しました様に、私も無理かと思います。しかし、これだけ関連がある画像、そして共通するサイト。人を動かす何かがあれば可能かと。」
「十何人もこれで死んだと?」
佐々木がそんな馬鹿なといった感じで言う。
「断定は出来ませんが、何かがあれば可能性はゼロではないと言う事です。」
自信なさそうに職員は答える。
「今、音の方も解析中ですので、何か出てくるかもしれませんよ。予想ですが。」
職員の声が小さくなる。
「まず、これを作ったソフト会社へ行こう。」
村松は佐々木に言った。二人は南城の所へ向かった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 10:58 | 小説 第三章

25. 見えなかった物

情報処理の主任が、村松達に説明していた。
「パスワードを頂きまして、このデータ取り込み用のコンピューターで分析しました。今回は、一つのカテゴリー、つまり、星座とか血液等の中の、生年月日の分のデータが解析出来ました。」主任の話に、佐々木が質問した。
「全部いっぺんに解析出来ないんでしょうか?」
佐々木の質問に、
「情報量が半端じゃなくあるもので、一つずつ解析した方が、結果的にコンピューターも早く動いて解析も進むのです。」
主任が説明する。
「で、どうなんだ?」
村松が聞く。
「残念ながら、今の所全くおかしな所は見付かりません。動画と音声を同時にチェックしていますが、いたって普通のプログラムですね。さすがに、世界初の情報量を誇るシステムですので、特殊なプログラムですが、怪しい所はないですね。」
「世界初でもプログラムをチェックする事は出来るんですね?」
佐々木が質問する。
「ええ。世界初って言いましても携帯での話しで、プログラム自体は過去に使われていた物の進化版ですので。それに、全てを読み取る訳ではなく、プログラムには法則があるんですが、その法則から外れた物を見つけています。あと、動画と音を分けて、それぞれを専門の部署でも分析しています。」
「なるほど。それじゃ、何かあれば直ぐに見付かるって訳ですね。」
佐々木は理解したようだった。村松には良く分からなかった。
「全部解析するのに、あと二日は掛かりますね。なにぶん、カテゴリーが多いですから。」
今日の所はここまでで、仕方がなかった。二人は車に戻った。

既に十何人目かと思われる、事故無線が流れた。
「一体いつまで続くんでしょうね。」
ため息混じりに佐々木が言った。村松もまた、そう思っていた。世間とマスコミの警察へのバッシング。そして、成田から託された願いもあり、村松はあせっていた。
「佐々木。もう一度全部調べ直してみよう。俺たちが見落としている事がきっとあるはずだ。」
「はい。それじゃ、もう一度被害者の近辺を当たってみます。」
佐々木もじれったかった。二人は一度署に戻って別々に行動する事にした。
「頑張ってくれ。」
村松は頼むように言った。

部屋に入ると村松は再びビデオに向かった。画面を見ながら村松は言った。
「なるほど、皆うつむいていたのは携帯を見ていたのか。色んな事実が分かってくると、見えなかった物が見えて来るもんだな。」
何度も見ていたのに、今になって分かる事実。村松はあせっている自分を落ち着かせた。
「ん?」
些細な事だが、村松は気になった。
「なんだ?」
事故が増えるに伴って、ビデオも増えたが、その中の何本かに、偶然かも知れないが、被害者の近くで携帯を取り出して、話し始める男性が映っていた。
「もしかして、同一人物か?」
身を乗り出して画面を見つめる。しかし、次のビデオは女性が携帯をバッグから取り出していた。
「思い過ごしか。しかし、女装している可能性もあるな。」
何時の間にか、独り言が多くなっていた。村松は同一犯の可能性を探ろうと、次々とビデオを見ていった。以前、同僚が飛び込んで、村松が直接質問した現場のビデオが始まった。
「これは。」
村松は被害者が飛び込む直前、携帯を取り出す同僚の姿があった。
「まさか。」
もしも、同一犯ならこの同僚が犯人かも知れない。そして、手口はこの携帯で被害者に電話をする事。
しかし、隣の同僚に電話などするだろうか?やけに不自然である。被害者は既にうつむいており、多分占いのサイトを見ているのだろう。もし、同僚が犯人だったとして、このサイトとはどんな関係があるというのか?疑問だらけで接点が見えて来ない。とりあえず、事情を詳しく聞いて判断するしかない。見えなかった物が見えてきた村松は、この男に期待をよせていた。
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by deshi-mie | 2005-06-21 10:46 | 小説 第三章