パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリ:小説 第ニ章( 9 )

19. セキュリティー

数日後、情報処理部の主任から連絡があり、問題があるので、来て欲しいとの事だった。
村松たちは向かった。
「どうしたんですか?」
佐々木が不安そうに尋ねる。
「予想通り、セキュリティーが掛かっていました。データは引き出せたんですが、データの中身が見れません。これでは、数十万のDVDを机の上に並べたのと変わりありません。中身が重要なんです。」
「どういう事だ?」
機械音痴の村松が聞く。
「つまりですね、全ての占いの結果を、動画と音で楽しめますが、ある一つの占いに対して、何十万の中から、どうやってその答えを選ぶのか、どういう音や映像の構成で出来ているのか、もっと言えば、途中で電話が繋がるような怪しげなプログラムになっていないかとかですよね?」佐々木が答えて、主任に確認を取る。
「そうですね。中身が分かればある程度の法則があると思いますので、ちょっと違ったプログラムがあれば、浮き出てくると思うのですが。」
二人の解説に、村松は分かった様な、分からなかった様な、微妙な感じだった。
「それは、どうすればいいんだ?」
「この携帯の製造元か、もしくはソフト会社ですか。」
「分かった。行ってみよう。」
村松は、佐々木を連れてジャパン・データ・ソフトへ向かった。

その頃ジャパン・データ・ソフトでは、社長の成田の怒りが頂点に達していた。
「くっそー。どいつもこいつも噂に惑わされやがって。うちから手を引くだと?これじゃ、何も作れないじゃないか!」部品を発注している関連企業が、ジャパン・データ・ソフトの業績悪化を理由に、債権を回収出来ない恐れがある為、手を引いて来たのである。これで、銀行が離れてしまえば、即お手上げの状態になってしまっていた。
内線が鳴った。
「社長。ご面会の方が来られております。」
受付からだった。
「今忙しいんだ。約束もしとらん。またにして貰え。」
不機嫌そうに成田が言う。
「警察の方ですが・・・。」
なんだ?噂の件で警察まで来るのかと、成田は思った。
「分かった。通しなさい。」
成田は、警察の捜査がどこまで進んでいるのか知りたかった。一刻も早く、この状況から抜け出したかった。そして、怒りを落ち着かせて待った。
「すみません。お忙しいところ。」
村松が挨拶の後で言った。
「いや、構いませんが、どんな御用で?私は何も悪い事はしていない筈だが。」
「いえいえ。そんな事ではありません。ご存知と思いますが、最近の飛び込み事故の件なのですが。」
成田は、ほら来たと思った。
「実は、捜査上に、あるサイトが浮かんで来まして。そこのサイトを管理している方とお話がしたいと思いまして。」
成田には、思いもよらない答えだった。
「何?サイト?それと事件と何か関係があるんですか?」
意味が分からない成田は質問した。
「いえ、まだ確信は持てないのですが、被害者の多くがこのサイトに登録していましたので、何か手掛かりになる物があるんじゃないかと思いまして。」
村松の答えに、
「まさか、警察も呪いとかを考えている訳じゃないでしょうね?」
成田の馬鹿にした様な笑みと口調。
「決してそんな事ではありません。そのサイトに被害者の共通点を見い出せたらと思ったのですが、実際にやってみると、膨大な情報の数でしたので、直接お話した方が良いかと思いまして。」
「具体的に言って下さい。何が知りたいのですか?」
村松と佐々木は顔を見合わせて言った。
「データのパスワードです。」
その言葉に、成田の顔が変わった。
「何を言い出すかと思えばパスワードですか?そんなものいくら警察でも教える訳にはいきませんよ。会社のトップシークレットを教える様なものです。第一、ソフトは全て提携会社に委託している。パスワードなんて、私を含めて三人しか知らないんですよ。」
成田は、続けて言った。
「そんな事より、早くなんとかして下さいよ。このままじゃ、私の会社が潰れてしまう。警察は何をやってるんですか。」
成田がののしる。
「今、このサイトの情報が最有力なんです。どうか、ご協力お願いします。この会社の為にも。」そう言ってお辞儀をし、二人は部屋を出て行った。会社のビルを下から眺める二人。
「教えてくれますかね?」
佐々木が不安そうに言った。
「会社が惜しけりゃ連絡があるさ。」
村松は少し自信有り気に言った。長年の刑事の感が、不安でいっぱいの成田の心境を感じ取っていた。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-21 09:58 | 小説 第ニ章

18. 近道

朝一で、佐々木は携帯ショップへ向かった。
「いらっしゃいませ。」
元気な定員の声がした。
そう、そこは友助のショップだった。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
佐々木の応対は、圭太が担当した。
「新規で一番安いのでいいんだけど、あの音と映像がリアルなサイトが見れるのある?」
「当社のは、どの機種でもご覧になれますが。それでは、只今こちらの商品がセールになっておりますので、こちらで宜しいでしょうか?お手数ですが、この新規契約用紙にご記入ください。」
そう言って圭太は、シルバー色した見本の携帯を持ってきた。
「あ、安かったらそれでいい。」
佐々木は別に何でも良かった。圭太が続けて言う。
「色は何色が宜しいでしょうか?」
そう言って、サンプルを見せる。
「えっと、シルバーで。」
佐々木に色なんて関係なかった。どうせ、自分の物じゃないのだから。
「最近どう?変な噂あるでしょ?」
用紙を記入し終わって、暇な佐々木が質問する。
「そうですね。正直困っております。うちの携帯が最近良く売れていたんで、たまたま被害者の方が持っていたんじゃないでしょうか?」

佐々木は、非公開の捜査の情報を言ってしまう。
「噂では、こちらの携帯でしか見れないサイトに問題があるって話だけど。」
佐々木は普通に話すが、この事は、まだ捜査をしている警察しか知らない情報だった。
「え、そんな噂があるんですか?雑誌か何かに書いてあったんですか?」
佐々木はまずいと思った。そうか、まだ世間は知らなかったんだと。そんな表情を圭太が読み取る。そして、ちらっと目線をずらした。
「お客さんは警察の方なんですね。」
佐々木ははっとした。まずい。変な事を言ってしまった。捜査段階の情報だよ。
動揺を隠して佐々木は答えた。
「どうして?何故僕が警察だと思うの?」
「用紙のお勤め先の欄に書いてありますよ。」
そうだった。さっき書いたじゃないか。頭を色々な言い訳が飛び交った。
「ええっと、世間の声だよ。私達も色んな人に聞いたからね。何人かが言ってたみたいだよ。事実は分からないけど。そんなオカルト的な事ある訳無いと思わない?おかしな話だよね。」
佐々木は、愛想笑いしながら話した。良く居る、嘘が苦手なタイプで、自分が不利になると、良くしゃべる人間だった。
「やっぱり、そんな変な噂も流れてたんですね。周りの人間は気楽でいいですね。こっちは売上が下がるだけじゃなく、解約が多くて大変ですよ。」
「おい、圭太!」
後ろの席から友助が注意する。
「すみません。新規のお客さんに言う事じゃありませんね。」
そう言って、圭太は頭を下げた。
「いや、こっちこそ悪かった。」
佐々木もまた、悪かったと思っていた。佐々木はショップを後にした。

署につくと、佐々木は村松を探した。村松はビデオを見ていた。
「警部。買って来ましたよ。」
そう言って袋を見せる。
「よし。早速あのサイトに繋げてくれ。」
佐々木は待ってましたとばかりに、佐々木に言った。
「まずは、メニュー登録からだったな。警部。毎月の三百円も経費から出るんですか?」
佐々木が心配そうに聞いた。
「全部出してやるから心配するな。」
「安心しました。」
たかだか三百円の話である。
「繋がりましたよ。」
佐々木が画面を見せる。またも、今までの携帯とは思えない、動画と音のオープニングが始まった。
「何回見ても凄いなぁ。」
佐々木は結構、マニアックな一面があった。
「自分たちこれで二回目ですが、何回か見ているうちに、どちらか自殺したりしないでしょうね?」佐々木の言葉に、村松も少々不安だった。
「大丈夫。何か変な気分になったら、お互い必ず相談するんだ。きっと、すぐには死にたくならない筈だ。」
村松は、確信は無いが、気休めに言った。
「今日は何を占ってもらいます?」
佐々木が言う。
「とりあえず、何の当ても無いんだ。どれでもいいから、やってみろ。そのうち、何か掴めるかも知れない。」
「何か、自分だけ呪われそうだな。」
佐々木がまたも、不安そうに言う。
「呪いなんてある訳が無い。きっと何かトリックがあるんだ。もしかすると、途中で本物の占い師と電話が繋がったり、死にたくなる様な、嫌な結果を告げられたりするかも知れんぞ。」
村松は、呪いなんて信じてはいなかった。世間の皆も、面白がっているのだと。
「警部。これって、情報処理部か何かで全部のデータを引き出せないんでしょうか?」
確かに何十万通りを調べていくには、最も近道かも知れない。
「よし、行ってみよう。」
二人は、早速携帯を持って出かけた。

処理部に着いた二人は、そこの主任に今までの経緯を話した。
「確かに出来ない事はないですが、間違いなくセキュリティーが掛かっていますし、その他どんな問題が出てくるか分かりませんので、絶対出来るとは言えませんが・・・。」
「とりあえず、出来る所までやって貰えますか?」
佐々木がお願いする。
「分かりました。やるだけやってみましょう。また連絡します。」そう言って、主任は携帯を預かった。

帰り道、また無線から飛び込み事故の連絡が入る。
「いつまで続くんでしょうか?」佐々木が諦めた口調で言う。
「分からん。しかし、俺達が解決しなければ、永遠に続くかもな。」村松も、まだ先が見えない答えに、苦しんでいた。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-21 09:52 | 小説 第ニ章

17. サイト

毎日の様に駅に通う村松と佐々木。
これだけ続けば証言の数も相当な物になってきた。結構な数の人間が、事件に遭遇しているからである。
「そろそろ資料をまとめてみるか?何か共通点があるかもしれんぞ。」
村松が言った。
「そうですね。今度こそ何か出ますよ。きっと。」
そう言って二人は署に戻る事にした。
署では既に対策本部が設置されており、各駅でも、数人の警察官が見回りをしていた。防犯のポスターやちらし、テレビの宣伝でも、「ホームで不信な動きをする人を見掛けたら、一声掛けましょう。」との文句も目に付くようになった。それでも、この事件が終わる事はなかった。
が、確かに減少していた。それは、携帯の買い替えも影響していた。さらに、その事実をマスコミが取り上げ、買い替えに拍車が掛かり、ジャパン・データ・ソフトを危機に追いやっていた。

「誰か、何か掴んだか?」
村松が皆に問いかけた。
「はい。」
一人の刑事が手を上げる。
「世間が携帯が怪しいと言ってましたので、遺留品の携帯を調べてみました。」
村松は呆れ顔で、
「まさか、呪いを調べてたなんて言わないだろうな?」
皆がどっと笑った。刑事は真顔で言った。
「呪いかどうかは分かりませんが、警部が以前出された報告書にも書かれていました、占いが怪しいと思います。」
村松は興味有り気に尋ねた。
「どういう事だ?言ってみろ。」
「はい。被害者の携帯は、皆さんご存知の通り、全てreal製です。被害者の携帯を調べて見た所、過半数の携帯のブックマークに、同じ占いのサイトが登録されていました。」
村松は疑問を投げかけた。
「過半数って事は、残りは違うんだろ?それも偶然って見なされないか?人気のサイトなら、それだけ多くの人が登録しているんじゃないか?」
村松の問いに、刑事は自信ありげに答えた。
「残りの携帯は、事故の衝撃で破損しており、確認出来ません。確認出切る携帯で言えば、100%の登録率です。」
「本当か?それが事実なら、そのサイトをあたってみよう。配信元と、ジャパン・データ・ソフトにも誰か行ってくれ。」

それから村松は佐々木を呼んだ。
「お前の携帯でそのサイト見れるか?」
「いえ、私のはメーカーが違いますので。このサイトは、real専用のサイトなんです。あそこの通信システムしか見れません。」
部屋から出て行く刑事達に叫んだ。
「誰かこのサイトを見れる携帯を持っている奴いないか?」
誰も居なかった。佐々木が言う。
「このシステムは、音楽や映像をリアルに見たい人の為のシステムですから、刑事には居ないかもしれません。」
「それじゃ、どんな奴が持ってるんだ?」
村松が困った顔で聞いた。
「事務の女の子達に聞いてみましょうか?」
佐々木はそう言って、部屋を出て行った。

しばらくして、佐々木から電話があった。
「一階の事務の子が持ってました。ちょっと来て貰えますか?」
村松は急いで一階へ向かった。
「警部。これです。」
佐々木が携帯を見せた。
「あんまり、いじくらないで下さいね。メールは見たら駄目ですよ。プライバシーの侵害で訴えますからね。」
事務の女の子はあまり貸したくはなさそうだった。二人はそんな話はほとんど聞いていなかった。
「それじゃ、見てみましょうか。サイトメニューに入ってるって言ってましたからね。」
そう言って佐々木は検索を始めた。そして、目的のサイトに辿り着いた。
「きましたよ、警部。あ、でもこれ、メニュー登録しないと使えませんよ。しかも、一ヶ月三百円です。」
佐々木は事務の女の子の顔を見た。
「いやですよ。登録なんかしませんよ。私が死んだらどうするんですか?お金も掛かるし。」
当然ながら、非常に嫌がっている。
「すぐに解約していいから。ね、お願いします。今度、何かおごるから。ね。」
佐々木は甘えたように言った。
「頼む。捜査のためなんだ。」
村松も仕方なくお願いした。
「本当ですか?本当におごってくれるんですか?これが終わったらすぐに解約しますよ。いいですね。」
佐々木は顔の前で手を合わせて、感謝を表した。

「よし、登録完了。これで見れますよ。まさか自分が死んだりしないでしょうね?」
そう言って警部に画面を近づける。
「馬鹿な事言ってないで早くしろ。」
村松が怒鳴った。
「それでは、入店ボタンをピッと。」
会員専用のオープニング画面が姿を表した。DVDを見ている様な、そして、CDを聞いている様な非常にリアルな画像と音。
「初めて見るけどすごいな。こんなの携帯とはおもえないよ。」
佐々木が興奮して言った。
オープニングが三十秒程あり、それぞれの占いのジャンル別になっていた。
「この画面もリアルですね。」
思わず佐々木が言う。
「いったい、どれをすれば死にたくなるんだ?」
村松が言った。
「そうですね。どれか、占ってもらいますか?何がいいです?仕事、恋愛、人生、色々ありますが。」
「どれでも好きなのやれよ。」
面倒くさそうに村松が言う。
「じゃあ、恋愛。警部、生年月日いいですか?」
「馬鹿。お前のでやればいいだろ。」
「ああ、そうですね。」
そう言われると返す言葉がなかった。必要なデータを打ち込む佐々木。そして、送信。
「うわ。すごい。本物の占い師が出てきた。しかも、DVDの様に動いてしゃべってますよ。」
ページを開く度に驚く佐々木。それも無理もない。この携帯のサイトは、今までの携帯の常識を覆す事ばかりだったからだ。
「これって、向こうとテレビ電話みたいに繋がってるのかな?」
佐々木が疑問に思った。横から事務の子が答える。
「なんでも、それぞれのデータが一つ一つ細かに入ってるらしくて、最初に全てのデータが携帯にダウンロードされるから、後は、何十万通りの答えにあった映像が出てくるらしいですよ。」
「え、何十万通り!?それがさっきの時間で、もうこの中に入ってるの?それはすごい。」
またまた佐々木が驚く。
「東京限定のテスト通信は、どのサイトも全部そんな感じらしいですよ。」
事務の子が付け加える。
「へぇ。でも、そんなに沢山あるんじゃ、どれを開けば死にたくなるなんて、分からないな。実際被害者は皆、歳も性別も当然名前も違うし。」
佐々木は悩みこんだ。
「もう一度、被害者のデータを調べ直そう。」
村松が言った。確かに、何か共通点が無いと、この膨大な情報の中から探し出す事は、不可能に近かった。
「佐々木。お前明日この携帯契約して来い。金は経費で落としてやる。電話は掛けるなよ。」
そう言って、村松は部屋に戻って行った。

佐々木はあまり乗り気ではないが、仕事だから仕方なかった。事務の子に携帯を渡して部屋を出ようとした。
「佐々木さん、食事忘れないでね。」
女の子の声がした。
こんな事なら、初めから携帯買っとけば良かったと思う佐々木だった。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-21 09:43 | 小説 第ニ章

16. 暴落

噂が広まって、全国の一部のユーザー間では、携帯の買い替えが進んでいた。
ジャパン・データ・ソフトでも、会社を上げての問題になっていた。

「いったいどうなっているんだ。何故うちの携帯なんだ?なんとかしろ。」
社長の成田は腹だたしい気分だった。どうしてこの大事な時期にこんなろくでもない噂が流れるのかと。そう、実は息子友助の結婚の話と同時進行で、息子の相手である由香の父、技術提携先の南城社長と、吸収合併の話を進めていた。
「マスコミの取材でも否定したが、全く効果がないじゃないか。そもそも呪いだなんて馬鹿げている。」
完全に頭に来ている。

部長の竹下が不安そうに言った。
「しかし社長。この噂の技術者って、間堀さんの事では・・・?」
この言葉を打ち消すかのように
「関係あるか!確かに間堀をクビにしたが、あれは奴が情報を他社に流して金を貰っていたからだ。当然奴は白を切ったがな。しかも自殺なんかじゃない。あれは誰かに殺されたんだ。踏み切りで誰かが後ろから押したんだ。当時は証拠が集まらず、自殺と言う事になったが。」
「それじゃ、この噂は・・・。」
「知るか。マスコミが面白半分に書いたのだろう。こっちは大損害なんだ。訴訟をおこすぞ。」
「でも、被害者の携帯が全て当社の携帯と言うのは、紛れも無い事実です。」
「何が言いたいんだ?お前まで呪いなんて言うんじゃないだろうな?」
「いえ、でもこのままにしておくのもどうかと。」
「それじゃ、どうしろと言うんだ?霊媒師にでも来てもらうのか?」
成田の怒りは収まる気配がなかった。
「ともかく、この事態をなんとかしろ。宣伝でも何でも使って構わん。呪いなんて馬鹿馬鹿しい噂を消せ。」
とにかく成田は、この状況を変えたかった。しかし、成田の思いとは反対に、会社の株は暴落して行った。この状況を冷静に世間が分析し、業績的にこの会社は、危ないと認められていた。

そんな中、南城から電話が入った。
「ご無沙汰しております。南城です。」
いつに無く心配そうな声だ。
「ああ、久しぶり。どうだい?うまくいっているかい?」
「ええ、まあ。それより、テレビや雑誌でオカルト的に書かれてますね。そちらは大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。心配いらんよ。わざわざ心配してくれたのか。ありがとう。」
成田は、何事も無いような口調で話す。
「いえ、うちの娘も心配してましたし、友助君に聞いても分からないと言ってましたので。」
「なに。心配はいらんよ。ただの噂だよ。それとも、娘と会社が心配になってきたかな?」
「いえいえ。そんな事はありませんが、気になったもので。何かお力になれる事がありましたら、いつでもご相談下さい。」
そう言って南城は電話を切った。
「全くどいつもこいつも。」

この噂が広まってからというもの、周りの関連会社から、様子を伺う電話が増えていた。
会社の運命を握りながら、自殺者は十人を超えた。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-20 13:59 | 小説 第ニ章

15. 噂

朝のホーム。
今だ続いている連続飛び込み事件に、人々は見知らぬ恐怖に取りつかれていた。

「おい、この雑誌読んだか?」
一人の男が、別の友人に話し掛ける。
「いや、何で?」
知らないのかよ?と言いたげな表情で、
「連続飛び込みの噂だよ。」
友人は興味ありげに雑誌を見る。そこには、こう見出しがあった。
「連続飛び込み自殺!その正体は呪われた携帯!!」
と書いてあった。
「なんだよ。オカルトか?」
馬鹿にした様に友人が言う。
「まあ聞けよ。全部の被害者の携帯が、real製だってよ。お前のもじゃなかったけ?」
馬鹿な男だと思い、友人は慰めるようにいった。
realとは、ジャパン・データ・ソフトの携帯ブランドの名称である。
「お前ね。同じ携帯だからって、死ぬわけ無いだろ。大体さ、realって言ったら、今携帯の最先端行ってるから、結構大勢持ってるんじゃないの?」
「いや、それがさ。」
現実的な友人に、すぐさま反論する。週刊誌の内容を鵜呑みにするタイプだ。
「realって携帯メーカーのジャパン・データ・ソフトじゃん。そこの最大の売りの、大容量通信システムを開発した一人がさ、他社に情報を流したって疑われてクビにされちゃったらしくて、恨んで電車に飛び込み自殺したらしいんだよ。」
あっけにとられる友人。
「それで?呪いとかそんな感じって事?」
「正解!その通り。それでrealのユーザーを狙って、線路に引き込んでいるって噂らしいんだ。」男は真顔で答えた。
「そんなの俺達にとっては、いい迷惑じゃん。」
もっともな意見だ。しかし、男は続ける。
「ユーザーを減らして、会社を呪い潰す目的らしいぜ。」
「お前さ。現実的に考え」
言いかけて、周りの声にかき消された。悲鳴、叫び、そしてざわめき。線路を挟んで向こう側のホームだった。
「だれか!また人が飛び込んだぞ!」
彼らも野次馬の一人として、現場に行った。全ては電車の下だった。

「おい、どっかに携帯落ちてないか見ろよ。」
男は言った。
「やだよ、そんなの。死体も見ちゃうじゃないか。」
こちらのホームにはまだ電車が着いていないので、反対側の列車は全て見渡せる状態だった。なにやら騒いでいる人達がいる。二人も言ってみる事にした。
「死体なんじゃないの?」
友人はおそるおそる人ごみの合間から覗いた。
「やっぱり、あの携帯だ。」
数人の人が口々に言っている。
彼らも、同じ雑誌を読んだのだろう。

「ほら見ろよ。やっぱりそうだ。」
友人に自慢気に言う男。
「まじかよ。」
さすがの友人も驚いた様子だった。

その日以来、噂は全国に広まっていった。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-20 13:50 | 小説 第ニ章

14. ネタ

「佐々木。届いてるか?ビデオ。」
村松は出勤するなり佐々木に言った。
「はい。来てますよ。」
親指を立て、O.Kの仕草をして佐々木が答える。
このビデオで確信が持てる。二人は急いで再生を始めた。

しかし、またもやカメラの角度の関係で、二人が必要としている物は映っていなかった。
「くそカメラめ!」
村松は叫んだ。せっかくの手掛かりも、これではまだ偶然の域を出ない。
「くっそー!」
佐々木もまた叫んだ。
「願ってはいけないが、次の事故までお預けだな。」
村松は、不謹慎な事とは分かっていても、この事故はまだ続いていくと確信していた。

「ちょっと周りを当たって来ます。」
どうにも落ち着かない佐々木が言った。
「俺も行こう。」
村松もまた、じっとしていられなかった。

連続する飛込み自殺に、警察もマスコミも本腰で動き出した。村松達の捜査の結果も未確定だが発表された。
こうなると、マスコミも独自の調査で色々と調べ回った。
村松達が捜査に力を入れている間にも、ほぼ毎日のペースで事故は起こった。

村松たちは署で、最近のビデオをチェックしていた。
「やっぱりですよ、警部。」
そう言って、佐々木は画面を指差した。
「間違いないな。」
村松も確信した。残りのビデオの半分以上に、被害者が携帯を持ったまま飛び込む姿が映っていたからだ。
「おい、上に報告して来い。」

村松は一つの手掛かりを見つけた。しかし、何故携帯を持っているのかは分からなかった。直前に誰かから電話があったのか?そんな推理をしてみた。村松は、もう一度ビデオをチェックする事にした。何度も見直したビデオの山。しかし、今は憂鬱な気分ではなく、何かを見つけてやろうと勇んでいる気分だった。

「良く見えないな。」
歩き出す前の被害者は、人ごみの中に埋もれており、単独で歩き出すまでは様子が伺いにくかった。
「誰も携帯を耳にあててないな。しかし、皆うつむいてるぞ。既に死ぬ気か?」
確かに、列から前に歩き出すまでの間、誰一人として携帯を耳にあてている者がいなかった。
「ちっ、思い過ごしか?」
予想が外れた事で、さっきまでの勇んでいた気持ちがダウンしていた。

「警部、上に報告して来ました。しかし、携帯でどうやって殺すんだ?って言われて・・・。」
佐々木の報告は、今の村松には痛い一言だった。
「ああ、俺も誰かの電話でこんな行動を取ったのかと思ってな。占い師とか。調べてみたんだが・・・。誰も耳に携帯をあてていないんだ。」
村松がテンション低そうに答える。
「あ、でも、耳にあてなくても今の携帯は話せますよ。」
佐々木がさらっと答える。
「本当か?」
村松が驚いて佐々木の顔を見る。村松はほとんどテレビや雑誌を見ない。自分の携帯の使い方も良く理解していない、俗に言う機械音痴なのだ。
「じゃあ、俺の携帯もか?」
村松が携帯をポケットから取り出して見せる。
「あ、これはモデルが古くてだめですね。」
佐々木は何気に言ったが、村松は馬鹿にされた気分だった。
「それじゃ、お前のはどうなんだよ?」
ぶっきらぼうに村松が返す。
「あ、僕のは出来ますよ。やってみますか?」
そう言って佐々木は村松に電話した。
「もしもし。聞こえますか?」
佐々木が話す。
「ばかかお前。そんなに近くじゃ直接声が聞こえるんだよ。廊下の端に行け!」
まだ、馬鹿にされたと根に持っているらしい口調で言った。佐々木はしぶしぶ廊下の端へ行き、再度電話を掛けた。
「今度はちゃんと聞こえますか?」
遠くから見ても、確かに佐々木は耳にあてていない。
「おう、聞こえるぞ。そのまま外に出て、俺の部屋の下に来い。」

村松は、騒がしい外での通信状態が知りたかった。村松の部屋の下。それは車道の横だった。
「今から署の外に出ます。」
佐々木は軽快に話していた。
「聞こえるか?」
村松の声が佐々木の携帯から聞こえる。
「聞こえますが、ボリュームを上げないと少し聞きづらいですね。」
しばらくして、返事が来た。
「おい、聞こえるのか?」
「ええ、でもこんなに大きくしたら、周りの人にも聞こえてしまいますから、人ごみでは、」
言いかけた所へ、またも村松の声
「何か騒がしくて聞き取りにくいぞ。もっと大きな声で話せ。」
村松には聞こえていなかったらしい。佐々木は普通の通話に切り替えた。
「警部。良く聞こえていないみたいでしたね。」
「おお、急に良く聞こえるようになったぞ。」
事情が分からない村松は答えた。
「いえ、今、普通の話し方に切り替えました。警部が聞き取り辛そうでしたので。」
「なんだ、そうか。何か周りがうるさくってお前の声が聞き辛かったんだ。もう、帰って来ていいぞ。」
そう言って村松は電話を切った。

「だめだな。さっぱり聞こえない。」
村松は新たな手掛かりが消えた事に悔しさを感じていた。そこへ佐々木が戻って来る。
「警部。人ごみの中で、相手の声が聞こえるまでボリュームを上げて話す人なんかいますかね?」
佐々木が諦めた顔で言う。
「こっちなんか、ほとんど聞こえないぞ。もっと大きな声でしゃべって貰わないと。」
二人の感想で、駅のホームでは使えないと判断した。
「何かないですかね?」

二人が悩んでいる頃、週刊誌の記者が、あるネタを掴んだ。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-20 13:29 | 小説 第ニ章

13. 希望

署に戻った村松は、早速ビデオをチェックし始めた。
「佐々木が帰って来たら驚くだろうな。」
心なしか少しテンションが上がっていた。何か見つけられそうな気がしていた。
「四人の周りの人物に、共通点はないのか?」
どのビデオも、ひとりでに歩いてホームの下に消えて行く、被害者の映像が映っているだけだった。

「どんな小さな事でもいいんだ。見つけろ。」
いつしか村松は自分に言い聞かせていた。そこへ佐々木が帰って来た。すぐに村松は、
「佐々木。今度の被害者も占いに凝ってたぜ。」
少し笑みを浮かべながら言った。
「本当ですか?それって、マジもんの共通点って事ですかね?」
佐々木もまた、興奮して言った。
「まだ分からんがな。お前の感が当たっているかもしれんぞ。ところで、他は何か分かったか?」
「いえ。他は何も。手掛かりありませんね。」
疲れた様に佐々木が答える。
「もう一度、ビデオと調書をチェックするんだ。きっと何かあるはずだ。今度は俺が調書を見てみる。」
そう言って、村松は調書をめくり始めた。

そんなに多くない調書とビデオ。時間も掛からずチェックは終わった。
「どうだ?何か怪しい事でもあったか?」
村松が尋ねる。
「いいえ。これといって共通人物もいませんし。やっぱり、占いか何かですかね?」
二人は煮詰まってきていた。
「そうだ、四つのモニターで同時に見てみましょうよ。何か分かるかも知れない。」
ふと思いつきで佐々木が言った。
「そんなんで何か分かるのか?」
疑問に思い村松は聞いた。
「分かりませんけど、何かした方がいいでしょう?」
佐々木も思いつきで言ったので、これといった答えは持ち合わせていなかった。
早速モニターを用意して、ビデオを再生する。

「何だか、何度も飛び込みの瞬間を見るのって、気分が悪いですね。」
佐々木が滅入った様に言う。
「仕事だから仕方ないんだよ。」
もう何十回とこのビデオを見た村松が、諦めた様子で答える。
「ん?もう一度全部戻してくれ。」
村松が慌てて言った。
「何かあったんですか?」
佐々木も慌ててビデオを戻しながら聞いた。
「ちょっと、ここ見てみろ。」
村松が指差したのは、被害者の手だった。
「え、どこですか?手ですか?」
佐々木も身を乗り出して、被害者の手を注視した。
「ほら、見てみろ。これも、これも。これはちょっと見難いが。ほら、これも。三人ははっきり見えるだろ?」
村松は興奮を抑えきれない様子だった。さすがに佐々木も気付いた。
「あ!みんな手に携帯を持っている。」
そう、四人中三人は、はっきり手に携帯が見て取れるのだ。残念ながら、一人はカメラの角度の関係で見えなかった。
「今日の夕方の事故のビデオが来れば、確信が持てそうだぞ。」
まだほんの少ししか謎が解けていないが、もう一つのビデオに、希望の光がある事を信じていた。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-20 13:18 | 小説 第ニ章

12. 共通点

後日、調書とビデオが村松のもとへ届いた。
「おい、この中に同じ人物がいないか調べるんだ。調書は偽名の可能性もあるから、何か手掛かりになりそうな事を見つけろ。」
この中に必ず犯人の手掛かりになる物がある。村松はそう確信していた。

じっと画面を見つめる村松。何度も繰り返し繰り返しチェックするが、同じ人物らしき姿が見当たらない。わずか4本のビデオなのに。
「くっそー。何故いないんだ。変装でもしてるのか?やはり自殺なのか?」
苛立つ村松を佐々木がなだめる。
「警部。遺留品でも当たってみますか?何か犯人の手掛かりになりそうな物があるかもしれませんよ。ついでに、解剖の結果も見てみましょう。」
自分の予感が外れそうな事、部下に慰められている事、全てが情けなく思う村松だった。
「ああ、じゃあ俺は解剖の結果を調べるから、お前は遺留品を頼む。」
力が抜けたように村松が言った。
「何かあったら、すぐ連絡しますから。」
佐々木もこれ以上何も出ないと思ったが、村松を気遣って答えた。

解剖結果を聞く村松。
「そうか、薬物なんかも出ないか。普通にただの健康な体か。」
残念そうに村松がうつむく。
「外傷に関しましては、遺体の損傷が激しくて・・・。」
「そうか、有り難う。」
そう言って村松は部屋を出ようとした。そこへ電話が入った。佐々木だった。
「あ、もしもし。佐々木です。遺留品は駄目でした。これといって手掛かりになる様な物は・・・。あ、でも被害者の周りを当たってみたら、関係あるか分かりませんが、一つだけ共通点がありました。」
今の村松にはどんな手掛かりでも嬉しく思えた。
「何だ?早く言え。」
「ええ、本当に関係があるか分かりませんが、みんな占いに凝ってました。」
「何?占い?そんなもん誰だってやるだろう。本当に関係なさそうだが、もう少し調べてみてくれ。」
村松は、期待していた返事よりかなり外れていた為、がっくりと肩を落とした。占い?たまに変な占いで自殺する奴はいるかも知れないが、今回はもう4人だぜ。それとも、何か宗教まがいのマインドコントロールか?俺もテレビの見すぎかな。頭の中で色々な事が巡ったが、これといって解決策は思い浮かばなかった。

「帰ってもう一回ビデオでもチェックするか。」
独り言を言いながら、村松は車に乗り込んだ。
夕日が眩しくてサングラスを取ろうとした所で、またも無線が鳴った。
「代々木駅で男性の飛び込み事故発生。至急・・・」
「おいおい、またかよ。何が原因何だ?」
村松は謎だらけのこの事件に怒りにも似た気分だった。

夕方のホーム。学校や会社帰りの人でごった返していた。
「どうだ?」
いい加減同じ答えしか返って来ない現場に、少々いらついて、ぶっきらぼうに問いかけた。
「はい。二十五、六の男性ですが、同僚と一緒だった様で。あちらの男性です。」
意外な答えに村松は嬉しかった。何か手掛かりになる事が聞けるかも知れない。
「すみません。私、警部の村松と言います。」
同僚の男性は、かなり動揺した様子で、
「あいつが、あいつがいきなり歩いて。それで、止めようとしたけど・・・。そのまま歩いてって。」
また同じ状況だった。
「その時何か変わった事はありませんでしたか?誰か近くに居たとか?」
男性は村松を見上げていった。
「誰か?周りは電車待ちの人でいっぱいでしたよ。え、誰かに押されたって事ですか?殺されたんですか?どうなんです?そうなんですか?」
男性は村松の言葉にさらにパニック状態に陥ってしまった。
「いえ、すみません。とりあえず、色々聞いておかないといけませんので。申し訳ない。」
そう言って頭を下げた。これじゃ今日は無理だな。そう思い、署に戻ってビデオをチェックしようと思った。
「じゃあ、こちらの男性の事頼んだよ。」
そう警察官にいうと、階段の方へ向きを変えた。そこで、佐々木の言葉が頭を過ぎった。村松は振り返り、
「最後に一つだけ。同僚の方は占いが好きでしたか?」
男性は、思いもよらない質問に少し驚いたようで、
「なんですかこんな時に。ええ、確かにあいつは占いに凝ってましたけど。それが何か関係あるんですか?」
村松はニヤリとしたかったが、何とか持ちこたえた。
「いや、何でもない。変な事聞いてすみませんでした。」そ
う言って現場を後にした。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-20 13:12 | 小説 第ニ章
友助たちのお見合いの日から約二週間後。
ホームにはロープが張られ、警察・救急隊が慌しく動いていた。
「近づかないで、離れて下さい。」
駅員も周りの野次馬の整理に追われていた。
「いや、急に後ろから歩いて来たと思ったら、そのまま・・・。」
前の列にいた人が事情聴取を受けている。
「俺も携帯が鳴ったから、ポケットから出そうとしてたら、いきなり前に出てきて。」
被害者の横に居た学生が動揺しながら答えた。
救急隊がシートを被せてタンかを運ぶ。
「即死だろうな。」
一人の警部が呟く。
「自殺でしょうか?」
部下の一人が聞いた。
「まあ、周りの証言からすると、自殺の可能性が高いな。」
警部がうつむき加減で答えた。
「後はまかせて戻ろう。」
胸の前で手を合わせて、ホーム中央の階段を下りていった。

事故から二日後。
「村松警部。また飛び込みですよ。」
部下の佐々木が喫煙所でタバコを吸っていた村松の所へ走って来た。
「また飛び込みか。今度はどこだ?」
「今度は新宿です。」
佐々木が答える。
二人は急いで現場へ向かった。
現場の様子は前回と同じく騒然としていた。
村松は、先に事情聴取をしていた警察官に様子を聞いた。
「どんな感じだ?」
「はい。二十歳過ぎの女性みたいですが、誰に聞いても自分から飛び込んで行ったと。電車が入ってくる直前に、急に前に歩き出したと証言しています。」
警官は、調書を村松に見せた。
「また自殺かな。最近続くな。皆そんなに悩んでるのか?」
村松は、なんなんだ?と言うような表情で呟く。
「何か新しい事が分かったら連絡してくれ。」
村松はそう言って、手を合わせて帰って行った。

さらに次の日。
「村松警部。今度は男性の飛込みです。場所は原宿です。」
また佐々木が叫びながら部屋に入ってきた。
「おいおい、どうしたんだ?最近多くないか?」
立て続けに起こる飛び込み事件。村松も何か嫌な感じを拭えなかった。
二人は現場へ向かった。
途中、車の中。無線が飛び込んできた。
「新たに新宿駅で女性の飛び込み事故発生。近くの者は現場に急行。」
「うそだろ?」
佐々木が驚いて叫ぶ。
「おい、何かおかしくないか?」
村松が問い掛ける。
「確かにおかしいですね。最近続いてますし。」
佐々木も疑問を持っていた。
「もしかすると、自殺じゃなく他殺かも知れんな。」
その言葉に、佐々木はじっと村松の顔を見つめた。
「連続殺人事件・・・って事ですか?」
木村の問いに
「俺たちの気付かない誰かが、同じ現場にいるんじゃないか?」
村松の口から出た言葉に即座に佐々木が反応する。
「それじゃ、最近の事故は全部そいつの仕業と?」
慌てた様に佐々木が話す。
「いや、俺の推測だが。」
何の確信も無い村松は、言葉を濁した。

現場に到着した村松は、警察官に尋ねた。
「どうだ?」
調書を見せて警察官は答えた。
「断定は出来ませんが、自殺の様です。今回は三十歳前後の男性です。自分で飛び込んだと皆言ってますので。」
「調書を俺の所にファックスくれないか?」
村松は自分の直感を信じたかった。次に村松は構内の防犯ビデオを見に行った。
「このビデオ預かってもいいかな?」
駅員は、ビデオを差し出した。
「佐々木。他の事故の調書とビデオを集めとけ。」

村松には、どうしてもこの事故が自殺とは考えられなかった。
何か別に原因があるはずと、村松は思わずにはいられなかった。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-20 13:03 | 小説 第ニ章