パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
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30. ウイルス

携帯ショップに着メロが響いた。友助の携帯だった。
メールである。送信者は未松。
「久しぶりに少し逢わないか?占い師の言う通りになっただろう?呪いだよ。」
まだ諦めてなかったのかよ、と思い、友助は返事を打った。
「前回、もう逢いませんと言ってあります。もう連絡して来ないで下さい。それより、もしかしたら、あなたが犯人なんですか?」
友助は率直に聞いてみた。数分後返事が返って来た。
「君はニュースを見ていないのかい?指名手配の容疑者の名前は木村だろ。私は君も知っているが未松だ。それより、今晩どうだ?」
そう、未松の言う通り、木村は容疑者という形でとうとう全国に指名手配されていた。友助は、その後のメールは無視していた。いつもは金に負ける友助だったが、由香がいることもあった。前回未松が金をくれなかったのも、理由の一つだった。またメールが入った。今度は亜由美だった。タイトルは「新情報だよ」だった。興味津々で友助はメールを読み始めた。

警察の捜査線上にも、幾つかホテルの名前が挙がっていた。そう、木村が滞在しているホテルも含まれていた。木村の部屋に残された物の中に、幾つかのホテルからDMがきていた。
既に木村が泊まっているホテルにも、私服の警官二人がホテルのフロントで話を聞いていた。そこへ数人のお客と一緒にハンティング帽をかぶり、サングラスをした男が降りてきた。その男は、フロントにいる男達が警察であると直感した様子だった。急に向きを変えて再びエレベーターの方へ歩いて行く。周りを見ていた警官の一人がその行動に気付く。
「すみません。あの方はここに泊っている方ですか?」
男を指差してフロントに聞く。
「ええ、あの方は以前から良くご利用頂いております方です。」
「良く来るんですか?この写真の男に似てません?」
そう言って写真を見せる。
「似てると言えば似てますが、お名前も木村様では御座いませんが。」
警官は返す。
「偽名の可能性もあります。名前を教えて頂けますか?」
「もう、当店をご利用になられまして、一、二年になりますので、偽名と言う事は無いと思われますが。未松様とこちらでは伺っております。」
フロントは答えた。その男は未松だった。警官は続けた。
「何をされている方ですか?」
フロントは言い辛そうだった。
「こちらでは、あまりその様なプライバシーに関するご質問にはお答え出来かねますが、コンピューター関連のMimatsu@の専務様と伺っております。」
捜査なので、仕方なく答えるフロント。違ったかという様な表情の警官二人。
「それじゃ、何かありましたら、御連絡下さい。」
そう言って、警官達は、ロビーで見張りを続けた。

一方、亜由美からのメールを読む友助。
「新情報です。この情報は前の会社の仲が良かった先輩を、会社の前で待ち伏せて聞いたのよ。苦労したんだから。あ、もちろん女の人よ。だから、今度は必ず食事に誘ってね。それで、新情報っていうのは、」
友助は目を疑った。ばかな。あり得ないと。
「新情報っていうのは、未松さんは現在独身です!と、言う事は、養子だった訳だから会社も辞めてました。半分クビ状態だったみたいよ。本当かどうか分からないけど、未松さんの浮気が原因みたい。さらには旧姓に戻ってました。今の苗字は木村さんでした。どう?なかなか良く調べてるでしょう?それじゃ、友助君。約束守ってね。バイバイ。」
約束なんてしてないじゃん。友助は思ったが、そんな事どうでもいい問題だった。
やはり、未松が犯人だと思える事実がそこにあった。その犯人かも知れない人物とメールをしている自分。もし未松が逮捕されたら、携帯の履歴か何かで、自分の事が分かってしまうかも知れない。週刊誌の写真付きの見出しが頭を過ぎる。
「緊急入手!呪いのサイトの犯人の素顔 実は同性愛者!相手の男性が赤裸々告白!!」
友助は頭を書きまくった。
いかん。ホテルのボーイにも、過去何度かメモを持ってきて貰っている。でも、いつもサングラスしてたしな。しかし、こういうのって、匿名とか写真のモザイクとかで誤魔化しても、インターネットとかで、すぐに出ちゃうんだよな。もう、俺も終わりだ。
やっぱりあいつのせいだ!友助の頭の中では、昔の貢いだ女が指でピースサインをしていた。携帯だけでも何とかならないかな。友助は考えた。物凄く考えた。何も浮かばなかった。

そんな様子を圭太が見ていた。
「お前さっきから何悩んでんの?はたから見てたら、すっげー喜怒哀楽が激しい奴みたいだぜ。」圭太が笑いながら近づいてきた。
「実はな、面倒な女がいてね、メールの内容で脅迫じゃないけど、ストーカーみたいな感じ。」
未松の事を女に例えて話す友助。
「また何か変なメールでも送ったんじゃないの?で、何か良く分かんないけど、それでどうしたいの?」
「いやね、相手のメールの内容とかをさ、逢わないで消せないかなぁなんてね。」
「そりゃ無理だろ。漫画じゃないんだから。でも携帯の機能を麻痺させる事は出来るぜ。」
友助は藁にもしがみつく心境だった。
「え、まじで?なにそれ?どうすんの?」
急に圭太に顔を近づける友助。
「パソコンのウイルスさ。携帯にウイルスを送ってやるんだよ。ただし、うちの携帯しかだめだぜ。他んトコのは基本的にパソコンと違って、ただの携帯だからな。うちの中身はパソコンその物と言っても過言じゃないからね。」
「そうなんだ。うちのは凄いんだ。」
友助は知らなかった。
「お前、本当にうちの社長の息子かよ?でも、ウイルスソフトが常駐してるからな、まずはそいつを解除してもらわないと駄目だな。」
天国から地獄に落とされる友助。そんなの外してくださいって言う方が怪しい。
「それって、どうすれば外して貰えるかな?」
いい返事が返って来ないと分かっていても、自分では何もひらめかない友助は聞いた。
「普通は頼まれても外さないな。しいて言えば。」
「しいて言えば?」
友助がまたも近くに寄る。
「よっぽど相手が見たいと思っている画像を、パソコンから送るから外してってお願いするとか。普通は携帯の写メで送って言われるけど、画像が大きいとか、動画が長いとか言って。」
そこで友助が突っ込む。
「そんなの無理だよ。俺でも分かるぜ。だってうちの携帯の売りは、大容量だろ?普通に送れるじゃん。」
圭太は呆れた顔で見つめる。
「お前、やっぱ息子じゃないな。って言うより、ここの社員じゃないだろ?大容量通信ってのは、メニュー内のサイトからの情報配信の事だよ。受け取る方。音楽とか映画とか。携帯端末側から送れるのは、せいぜいそこらの携帯の、3倍位のデータだよ。」
またまた尊敬の眼差しで圭太を見つめる友助。
「それじゃ、そのウイルス俺にくれよ。」
友助が嬉しそうに言う。
「ばーか。そんなの俺が持ってる訳ないだろ。」
一体今までの話はなんだったんだ。友助はそんな気分だった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 11:47 | 小説 第三章