パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
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29.嘘

昼のワイドショー。噂のサイトの社員であるという人物が、よくあるモザイクと変換された音声で出演していた。
高めのトーンに変換された声で、彼は淡々と話していく。知っている人が見れば、ちょっとした仕草や話し方、体の特徴で分かりそうな、いつものモザイク。

「野村じゃないか。」
木村もこのテレビをホテルの部屋で見ていた。そして、木村も気付いた。
「何で出てるんだ?」
ただの一社員にすぎない野村が、何故テレビに出ているのか疑問だった。その後のインタビューで、木村は全てが分かった。
「そうか、昨日の電話はそういう事か。」
悔しそうに木村が呟く。自分が探されている。この事実に直面した木村は、昨日の電話で沖縄にいるといった事が、不幸中の幸いであると思っていた。
この後、どうするべきか考えていた。まだ世間は、このテレビの事が自分だとは分からない。
名前も写真も出ていない、今しかここを離れるチャンスは無いと思っていた。
しかし、行く当ても無い。駅や飛行場はドラマ等でも良く見付かる場所だ。木村はテレビに影響されやすい性格だった。
金は今の会社に入る時の契約金が幾らでもある。やはり、もう少しこのホテルに居る方が安全だと考えた。
その頃、警察でも動きがあった。令状が出たのである。早速、自宅や会社の持ち物が調べられた。家には特殊な装置もあり、DVDに映像や音を加工して記録する、ソフトや機材があった。
自宅でもサブリミナル効果を使ったDVDを作成していたようだった。パソコンの中のデータは、消去されていた。もしかすると、データだけ持ち出した後、消去したのかも知れない。
どのような物を作っていたのかは不明だった。

村松達は、情報処理部からの電話で、また何か見付かったと連絡を受けていた。急いで向かう二人。今度は音響の担当者が待っていた。
「こちらもオープニングにサブリミナルが使われていました。」
そう言って音を聞かせた。CDの様な、そしてバーチャルサラウンドの迫力ある音。これもただ聴いているだけでは何も分からなかった。映像と同じ様に、分かりやすく解析内容を説明して貰う。

「このテーマ曲の中に、メッセージが入っていました。メインの曲と分離しましたので、聴いて下さい。」
そう言って、スイッチを入れた。先々月までテレビで放送されていた、人気ドラマの主題歌だった。と言っても、これには歌は入っていなかった。サビの部分の曲のみである。
人気グループを起用せず、オーディションで主題歌を決定したこの曲は、ドラマ人気もありブレイクした。
最近ではドラマも終わり、人気曲のランキングからも外れていた。いわゆる、一発屋であった。今回の事件では、その曲のサビの部分だけが使われていた。
サビが一回終わる度に、「聴いたら死ぬ時。聴いたら死ぬ時」と木村本人であると思われる声で録音されていた。サビが約十四秒だから、オープニングの時間で、二回流れる計算だ。
この声が、メインの音に練りこまれる様に挿入されており、意識的に聞く事はほとんど出来ない。
「実は、今回はオープニングだけではなく、メニュー画面のカテゴリーを選択するまでの間、メニュー画面でこの音がB.G.Mと一緒に流されていました。」
そう、ダブルトラップだった。サブリミナル効果をより浸透させる為、視覚と聴覚を使って、潜在意識に強く訴えたのであった。しかし、通常これだけでは効果が薄いと考えられる。潜在意識とリンクする事がないからだ。
映画の飲料水も、オリンピックの選手も、飲みたい、勝ちたいという思いがリンクして行動に移したにすぎない。それならば、死にたいと思っていたのか?と言う事になる。そもそも、この曲は何を意味するのか?はっと村松は思い出した。
「この曲!前田さんの携帯の着メロだ。」
皆が振り返った。
村松は、以前前田に会った時の、前田の携帯の着メロを思い出した。
「もしかすると、この曲が流れたら自殺してしまうんじゃ。」
佐々木の推理は決して的外れでは無かった。しかし、それだけで人が死ぬとは思えなかった。

犯行の仕組みが明らかになって行く。村松はこの事件の終わりが近いと感じていた。
「よし、木村を探すぞ。」
未だ居場所が分からない木村。しかし、村松には自信があった。南城から木村が沖縄にいると言った事を聞いていたからだった。沖縄。それは木村が言った嘘である。しかし既に警察は、沖縄での捜査に力を入れていた。木村にとっては好都合であった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 11:19 | 小説 第三章