パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
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17. サイト

毎日の様に駅に通う村松と佐々木。
これだけ続けば証言の数も相当な物になってきた。結構な数の人間が、事件に遭遇しているからである。
「そろそろ資料をまとめてみるか?何か共通点があるかもしれんぞ。」
村松が言った。
「そうですね。今度こそ何か出ますよ。きっと。」
そう言って二人は署に戻る事にした。
署では既に対策本部が設置されており、各駅でも、数人の警察官が見回りをしていた。防犯のポスターやちらし、テレビの宣伝でも、「ホームで不信な動きをする人を見掛けたら、一声掛けましょう。」との文句も目に付くようになった。それでも、この事件が終わる事はなかった。
が、確かに減少していた。それは、携帯の買い替えも影響していた。さらに、その事実をマスコミが取り上げ、買い替えに拍車が掛かり、ジャパン・データ・ソフトを危機に追いやっていた。

「誰か、何か掴んだか?」
村松が皆に問いかけた。
「はい。」
一人の刑事が手を上げる。
「世間が携帯が怪しいと言ってましたので、遺留品の携帯を調べてみました。」
村松は呆れ顔で、
「まさか、呪いを調べてたなんて言わないだろうな?」
皆がどっと笑った。刑事は真顔で言った。
「呪いかどうかは分かりませんが、警部が以前出された報告書にも書かれていました、占いが怪しいと思います。」
村松は興味有り気に尋ねた。
「どういう事だ?言ってみろ。」
「はい。被害者の携帯は、皆さんご存知の通り、全てreal製です。被害者の携帯を調べて見た所、過半数の携帯のブックマークに、同じ占いのサイトが登録されていました。」
村松は疑問を投げかけた。
「過半数って事は、残りは違うんだろ?それも偶然って見なされないか?人気のサイトなら、それだけ多くの人が登録しているんじゃないか?」
村松の問いに、刑事は自信ありげに答えた。
「残りの携帯は、事故の衝撃で破損しており、確認出来ません。確認出切る携帯で言えば、100%の登録率です。」
「本当か?それが事実なら、そのサイトをあたってみよう。配信元と、ジャパン・データ・ソフトにも誰か行ってくれ。」

それから村松は佐々木を呼んだ。
「お前の携帯でそのサイト見れるか?」
「いえ、私のはメーカーが違いますので。このサイトは、real専用のサイトなんです。あそこの通信システムしか見れません。」
部屋から出て行く刑事達に叫んだ。
「誰かこのサイトを見れる携帯を持っている奴いないか?」
誰も居なかった。佐々木が言う。
「このシステムは、音楽や映像をリアルに見たい人の為のシステムですから、刑事には居ないかもしれません。」
「それじゃ、どんな奴が持ってるんだ?」
村松が困った顔で聞いた。
「事務の女の子達に聞いてみましょうか?」
佐々木はそう言って、部屋を出て行った。

しばらくして、佐々木から電話があった。
「一階の事務の子が持ってました。ちょっと来て貰えますか?」
村松は急いで一階へ向かった。
「警部。これです。」
佐々木が携帯を見せた。
「あんまり、いじくらないで下さいね。メールは見たら駄目ですよ。プライバシーの侵害で訴えますからね。」
事務の女の子はあまり貸したくはなさそうだった。二人はそんな話はほとんど聞いていなかった。
「それじゃ、見てみましょうか。サイトメニューに入ってるって言ってましたからね。」
そう言って佐々木は検索を始めた。そして、目的のサイトに辿り着いた。
「きましたよ、警部。あ、でもこれ、メニュー登録しないと使えませんよ。しかも、一ヶ月三百円です。」
佐々木は事務の女の子の顔を見た。
「いやですよ。登録なんかしませんよ。私が死んだらどうするんですか?お金も掛かるし。」
当然ながら、非常に嫌がっている。
「すぐに解約していいから。ね、お願いします。今度、何かおごるから。ね。」
佐々木は甘えたように言った。
「頼む。捜査のためなんだ。」
村松も仕方なくお願いした。
「本当ですか?本当におごってくれるんですか?これが終わったらすぐに解約しますよ。いいですね。」
佐々木は顔の前で手を合わせて、感謝を表した。

「よし、登録完了。これで見れますよ。まさか自分が死んだりしないでしょうね?」
そう言って警部に画面を近づける。
「馬鹿な事言ってないで早くしろ。」
村松が怒鳴った。
「それでは、入店ボタンをピッと。」
会員専用のオープニング画面が姿を表した。DVDを見ている様な、そして、CDを聞いている様な非常にリアルな画像と音。
「初めて見るけどすごいな。こんなの携帯とはおもえないよ。」
佐々木が興奮して言った。
オープニングが三十秒程あり、それぞれの占いのジャンル別になっていた。
「この画面もリアルですね。」
思わず佐々木が言う。
「いったい、どれをすれば死にたくなるんだ?」
村松が言った。
「そうですね。どれか、占ってもらいますか?何がいいです?仕事、恋愛、人生、色々ありますが。」
「どれでも好きなのやれよ。」
面倒くさそうに村松が言う。
「じゃあ、恋愛。警部、生年月日いいですか?」
「馬鹿。お前のでやればいいだろ。」
「ああ、そうですね。」
そう言われると返す言葉がなかった。必要なデータを打ち込む佐々木。そして、送信。
「うわ。すごい。本物の占い師が出てきた。しかも、DVDの様に動いてしゃべってますよ。」
ページを開く度に驚く佐々木。それも無理もない。この携帯のサイトは、今までの携帯の常識を覆す事ばかりだったからだ。
「これって、向こうとテレビ電話みたいに繋がってるのかな?」
佐々木が疑問に思った。横から事務の子が答える。
「なんでも、それぞれのデータが一つ一つ細かに入ってるらしくて、最初に全てのデータが携帯にダウンロードされるから、後は、何十万通りの答えにあった映像が出てくるらしいですよ。」
「え、何十万通り!?それがさっきの時間で、もうこの中に入ってるの?それはすごい。」
またまた佐々木が驚く。
「東京限定のテスト通信は、どのサイトも全部そんな感じらしいですよ。」
事務の子が付け加える。
「へぇ。でも、そんなに沢山あるんじゃ、どれを開けば死にたくなるなんて、分からないな。実際被害者は皆、歳も性別も当然名前も違うし。」
佐々木は悩みこんだ。
「もう一度、被害者のデータを調べ直そう。」
村松が言った。確かに、何か共通点が無いと、この膨大な情報の中から探し出す事は、不可能に近かった。
「佐々木。お前明日この携帯契約して来い。金は経費で落としてやる。電話は掛けるなよ。」
そう言って、村松は部屋に戻って行った。

佐々木はあまり乗り気ではないが、仕事だから仕方なかった。事務の子に携帯を渡して部屋を出ようとした。
「佐々木さん、食事忘れないでね。」
女の子の声がした。
こんな事なら、初めから携帯買っとけば良かったと思う佐々木だった。
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by deshi-mie | 2005-06-21 09:43 | 小説 第ニ章