パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
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14. ネタ

「佐々木。届いてるか?ビデオ。」
村松は出勤するなり佐々木に言った。
「はい。来てますよ。」
親指を立て、O.Kの仕草をして佐々木が答える。
このビデオで確信が持てる。二人は急いで再生を始めた。

しかし、またもやカメラの角度の関係で、二人が必要としている物は映っていなかった。
「くそカメラめ!」
村松は叫んだ。せっかくの手掛かりも、これではまだ偶然の域を出ない。
「くっそー!」
佐々木もまた叫んだ。
「願ってはいけないが、次の事故までお預けだな。」
村松は、不謹慎な事とは分かっていても、この事故はまだ続いていくと確信していた。

「ちょっと周りを当たって来ます。」
どうにも落ち着かない佐々木が言った。
「俺も行こう。」
村松もまた、じっとしていられなかった。

連続する飛込み自殺に、警察もマスコミも本腰で動き出した。村松達の捜査の結果も未確定だが発表された。
こうなると、マスコミも独自の調査で色々と調べ回った。
村松達が捜査に力を入れている間にも、ほぼ毎日のペースで事故は起こった。

村松たちは署で、最近のビデオをチェックしていた。
「やっぱりですよ、警部。」
そう言って、佐々木は画面を指差した。
「間違いないな。」
村松も確信した。残りのビデオの半分以上に、被害者が携帯を持ったまま飛び込む姿が映っていたからだ。
「おい、上に報告して来い。」

村松は一つの手掛かりを見つけた。しかし、何故携帯を持っているのかは分からなかった。直前に誰かから電話があったのか?そんな推理をしてみた。村松は、もう一度ビデオをチェックする事にした。何度も見直したビデオの山。しかし、今は憂鬱な気分ではなく、何かを見つけてやろうと勇んでいる気分だった。

「良く見えないな。」
歩き出す前の被害者は、人ごみの中に埋もれており、単独で歩き出すまでは様子が伺いにくかった。
「誰も携帯を耳にあててないな。しかし、皆うつむいてるぞ。既に死ぬ気か?」
確かに、列から前に歩き出すまでの間、誰一人として携帯を耳にあてている者がいなかった。
「ちっ、思い過ごしか?」
予想が外れた事で、さっきまでの勇んでいた気持ちがダウンしていた。

「警部、上に報告して来ました。しかし、携帯でどうやって殺すんだ?って言われて・・・。」
佐々木の報告は、今の村松には痛い一言だった。
「ああ、俺も誰かの電話でこんな行動を取ったのかと思ってな。占い師とか。調べてみたんだが・・・。誰も耳に携帯をあてていないんだ。」
村松がテンション低そうに答える。
「あ、でも、耳にあてなくても今の携帯は話せますよ。」
佐々木がさらっと答える。
「本当か?」
村松が驚いて佐々木の顔を見る。村松はほとんどテレビや雑誌を見ない。自分の携帯の使い方も良く理解していない、俗に言う機械音痴なのだ。
「じゃあ、俺の携帯もか?」
村松が携帯をポケットから取り出して見せる。
「あ、これはモデルが古くてだめですね。」
佐々木は何気に言ったが、村松は馬鹿にされた気分だった。
「それじゃ、お前のはどうなんだよ?」
ぶっきらぼうに村松が返す。
「あ、僕のは出来ますよ。やってみますか?」
そう言って佐々木は村松に電話した。
「もしもし。聞こえますか?」
佐々木が話す。
「ばかかお前。そんなに近くじゃ直接声が聞こえるんだよ。廊下の端に行け!」
まだ、馬鹿にされたと根に持っているらしい口調で言った。佐々木はしぶしぶ廊下の端へ行き、再度電話を掛けた。
「今度はちゃんと聞こえますか?」
遠くから見ても、確かに佐々木は耳にあてていない。
「おう、聞こえるぞ。そのまま外に出て、俺の部屋の下に来い。」

村松は、騒がしい外での通信状態が知りたかった。村松の部屋の下。それは車道の横だった。
「今から署の外に出ます。」
佐々木は軽快に話していた。
「聞こえるか?」
村松の声が佐々木の携帯から聞こえる。
「聞こえますが、ボリュームを上げないと少し聞きづらいですね。」
しばらくして、返事が来た。
「おい、聞こえるのか?」
「ええ、でもこんなに大きくしたら、周りの人にも聞こえてしまいますから、人ごみでは、」
言いかけた所へ、またも村松の声
「何か騒がしくて聞き取りにくいぞ。もっと大きな声で話せ。」
村松には聞こえていなかったらしい。佐々木は普通の通話に切り替えた。
「警部。良く聞こえていないみたいでしたね。」
「おお、急に良く聞こえるようになったぞ。」
事情が分からない村松は答えた。
「いえ、今、普通の話し方に切り替えました。警部が聞き取り辛そうでしたので。」
「なんだ、そうか。何か周りがうるさくってお前の声が聞き辛かったんだ。もう、帰って来ていいぞ。」
そう言って村松は電話を切った。

「だめだな。さっぱり聞こえない。」
村松は新たな手掛かりが消えた事に悔しさを感じていた。そこへ佐々木が戻って来る。
「警部。人ごみの中で、相手の声が聞こえるまでボリュームを上げて話す人なんかいますかね?」
佐々木が諦めた顔で言う。
「こっちなんか、ほとんど聞こえないぞ。もっと大きな声でしゃべって貰わないと。」
二人の感想で、駅のホームでは使えないと判断した。
「何かないですかね?」

二人が悩んでいる頃、週刊誌の記者が、あるネタを掴んだ。
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by deshi-mie | 2005-06-20 13:29 | 小説 第ニ章