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パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
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8. 占い師

またいつものホテルのロビー。
友助は相変わらずの格好で待っている。
メールを知らせる音がする。未松だった。
「1112」とだけ書いてある。いつも通りエレベーターで上がって行く。
「今日が最後だ。今日が最後だ。」
ぶつぶつ独り言を言いながら上がって行く。

「絶対言うぞ。断るぞ。でも何て言おう?この前は彼女って言っても動じなかったしな。」
また携帯が鳴った。
親父からのメールだった。
「言い忘れていたが、来週の日曜日はお見合いだ。用事を入れるなよ。たまには顔を出しなさい。」
友助は意味が解からなかった。お見合い?俺が?何で?疑問符ばかりが頭を過ぎる。
その中で、ヒラメキの電球が点いた。
「これで行こう!」グッドタイミングの親父からのメールに感謝した。友助が部屋の前に着いた。

大きく息を吐いて深呼吸し、ノックをした。
静かにドアは開き、友助は中に入って行った。
「さあ、目隠しだ。」姿の見えない未松の声だけがする。
いつも、部屋は真っ暗。未松が目隠しを後ろ向きで渡し、友助が目隠しをした後で未松は振り向く。
未松は既にシャワーを浴びた後だった。
「話もあると思うが、まずは仕事だな。」
そう言って友助の服のボタンを外し始めた。
友助は、今回までの辛抱だと自分に言い聞かせていた。金も必要だし、なにより綺麗に終わらないと、危ない気がしてならなかった。

未松は友助のGパンを下ろし、そこに顔をうずめた。
そして、友助の手をつかみ、自分のガウンの中へ入れた。
「今日も楽しませておくれよ。」
未松が気持ちを抑えきれない様子で囁いた。
二人はベッドに入って行った・・・。

数時間後、またいつもの時間になって、未松が服を着始めた。
友助は今日は寝なかった。寝ている間に帰られたら終わりだからだ。
「未松さん。俺、今度お見合いするんです。それで前にも言った様に、終わりにしたいんです。お願いします。解かって下さい。」
友助は、必死に頼んだ。
「友助君。前回君に言われて考えたんだが、私の知り合いの会社に来ないか?君のお父さんの会社はもう長くないよ。給料は沢山用意出来ると思う。君を近くに置いておきたいんだ。私の正直な気持ちだ。私の正体も分かるよ。どうだね?」

意外な返答に友助は戸惑った。スカウト?俺が社長の息子と分かっていて?しかも会社は長くない?なんだそりゃ?友助の頭の中は、またも疑問符だらけになった。どういう事だろう?俺って囲われるって事?ますます逃げられないじゃないか。しかし、本当に潰れたらもっとやばい。借金が払えないじゃないか。
親の事より自分の借金。自己中心的な友助だった。

「何故、うちの会社が長くないんですか?今急成長中ですけど?」友助は問いかけた。
「私の知り合いの占い師が危ないって言ってるんだよ。」
未松は薄笑みを浮かべ答えた。そして、
「今のうちに私の所に来れば、君は助かるよ。君を不幸にしたくないんだよ。もう一つ、お見合いも止めた方がいい。悪い結果になる。君は今のままでいいんだ。」
「え、占い師?それだけですか?そんなもん当たる訳ないでしょ。お見合いもします。もうあなたとは逢いません。でも今日の分までは頂きます。」
友助は半ギレしながら、でも今日のバイト代は請求する。我ながら良く言えたと思った。
後は未松の返答次第。

「解かって貰えないか。」未松は残念そうに呟いた。
友助は目隠しをしているので、未松の表情も行動も読めない。このまま殺されたりしないよな?圧倒的不利な立場に気付き、少し後悔している。
「きっと後悔するよ。この占い師は呪いもかけれるんだよ。助けて欲しかったら、いつでも来なさい。」
そう言って未松は部屋を出かけた。

「あなたは一体誰なんです?本当は何者なんですか?未松ってのも偽名じゃないんですか。」友助が質問で呼び止めた。未松は優しく言った。
「お互い何も話さないのがここのルールだろ?まあいい。それじゃ、これだけ見せてやるが、上を向くなよ。ほら、目隠しを少しだけずらして見てみろ。」
そう言って、友助の前に何かを近づけた。上を見たら何をされるか分からない。友助はじっと差し出された物を見た。暗い部屋。だんだん目が慣れて来た。それは免許証だった、未松の両手の指で、名前以外の所は隠してあった。
「もういいだろ。私は正真正銘未松だろ?」そういい残して、未松は部屋を出て行った。
「殺されなくてよったぁ。本当に未松だったな。しかしなんだよ。呪い?んなもんある訳ないじゃないか。」
友助は少しほっとした。が、それもつかの間だった。
「あー!!あいつ金置いていってねーじゃん!」
いつも以上に疲れたが、今日はただ働きの友助だった。
by deshi-mie | 2005-06-20 12:48 | 小説 第一章