パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

6. 作戦

パソコンが騒然と立ち並ぶ部屋。その部屋の窓際に木村はいた。
木村の勤める会社は、最近急成長中のベンチャー企業で、大容量データ転送システムを扱う企業だ。
友助の父親の会社、ジャパン・データ・ソフトと技術提携しており、この会社のシステムをジャパン・データ・ソフトが独占契約した事によって、現在の携帯電話の中では、最先端をいっている。

今までのデータ通信では容量が足りなかった物を、このシステムを使えば、DVD並みの映像と音を送る事が出来る。携帯で、バーチャル5.1chサラウンドも楽しめる、世界初の携帯が誕生したのだ。
当然、市場での売上も、この携帯のお陰でジャパン・データ・ソフトが馬鹿売れし、あっという間に業界のトップにのし上がった。木村は、このシステムの開発チーフで、去年の暮れに莫大な契約金でヘッドハンティングされたのだった。

しかし、技術開発は日進月歩。もう他社がそれの上を行く技術を開発しているとの噂もあった。少し遅れをとっているこの会社には、開発資金が大手よりも少なく、なかなか開発が進んでいないのも現実だった。
木村は下からの開発資金増加と、上からの新商品早期開発の間に挟まれている状態だった。そんな木村がデータをチェックする横を、秘書の南城由香(なんじょう ゆか)が通った。彼女はこの会社の社長の一人娘である。ちょっと気が強いが結構な美女で、社内では彼氏候補に手を上げる者が多数いるが、木村もその一人だった。
木村は、社長直々にヘッドハンティングされた事で、良く社長と食事も一緒に行く仲だった。そこでは、遠まわしに娘の話を出し、密かに婿に立候補していた。由香もまた、父親から話だけは聞いていたが、木村をそんな風には見ることが出来なかった。悲しいかな、恋愛対象外だったのだ。

その由香は一番奥の社長室に向かっていた。
「失礼します。」ノックをし、中に入ると、社長である父が待っていましたとばかりに話し始めた。
「おお由香。お前お見合いしてみないか?」
突然の事に
「いえ、まだ私は結婚するつもりはありません。それにお見合いだなんて・・・。」
由香はびっくりし、また木村の事かと思った。
「なんだお前、好きな男でもいるのか?木村はイマイチみたいだったが、今度は気に入ると思うぞ。」
由香の予想と違い、木村ではなかった。誰?由香には想像がつかなかった。
「お前も知っていると思うが、ジャパン・データ・ソフトの友助君だ。どうだ?いい男だろう?ん?仕事も出来るらしいぞ。」
こちらの会社には、携帯ショップの一店員とは知らされていないらしい。由香も、会社の付き合いで何度か一緒に食事をした事があったが、あまり話した事もなかった。
「そういう問題ではありません。まだ結婚したくないんです。」
由香は25歳。仕事や遊びが楽しい彼女は、結婚の事など全く考えていなかった。
「実はな、これは私から先方にお願いした事なんだ。お前も知っていると思うが、うちには開発費が無い。木村からも経費を増やすようにひつこく言われているんだ。あちらと完全に手を組めば、向かう所敵なしだ。世界だって狙える。一度逢ってみてくれないか?」
由香は怒りに満ちていた。親ともあろう者が会社の為に娘を売っていいのかと。ドラマじゃあるまいし。馬鹿げていると。しかも木村まで関係しているのかと。
「お断りします。私はどうなってもいいんですか?あなたは社長である前に私の父親でしょう?そんな話お断りして下さい。」
ヒステリックに由香が言った。
「それじゃ、この会社がどうなってもいいと言うのか?私からお願いしたんだ。せめて一回でもいいから逢ってくれ。頼む.」
そう言って頭を下げた。
「一回でいいのね?本当に一回よ!絶対断ってよね。バッグも買ってよ。」
どさくさにまぎれておねだりもするしたたかな由香は、今現在、彼氏もおらず、気になる男もいない。初めて頭を下げる父親に一度位協力してもいいかなと思った。
「有り難う由香。本当に有り難う。助かったよ。バックでも何でも買ってやる。本当に有り難う。」
そう言って泣きそうな顔で由香に礼を言った。
「それじゃ、詳しく決まったらまた教え下さいね。」
そう言って部屋を出る由香。ちょっとお父さんてかわいいと思い、口元が微笑んでいた。
が、木村を見つけるなり、きつい目に変わった。

一方部屋の中では父親が、ドアが閉まるなり、泣きそうな顔から笑みに変わっていった。
父親の作戦勝ちのようである。
[PR]
by deshi-mie | 2005-06-20 12:22 | 小説 第一章