パダワンとはスターウォーズに登場する戦士で、修行中の身の戦士の事です。私の仕事の車に関係する”ガレージ”を付け、初心に返る意味で、屋号にしてます♪


by deshi-mie
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3. 決断

夜の有名高級ホテルのロビー。
いかにも高そうなソファーにピンクのシャツと紫のネクタイ、色の濃いサングラスをして待つ友助。誰も気にしていないのに、こんな所でサングラスは逆に目立つ事に気付かず、ちょっとした芸能人気分で待ち合わせの相手を待っている。

そんな友助に近づく一人の女性。歳は友助より少し上の様に見えるその女性は、ロングヘアーを上でまとめて、いかにもキャリアウーマン的なスーツに身を包み、お決まりのメガネをしている。
「すみません。成田友助さんでしょうか?」
友助は顔見知りではない様で、頭に「?」が付いた感じの返事をした。
「そ、そうですが。あなたは?」
友助が本人と分かり、その女性は嬉しそうに答えた。
「良かった。やっぱり成田さんでしたね。間違っていたらどうしようかと思いました。」そう笑った彼女の顔は、さっきまでのキャリアウーマンの顔ではなく、とてもキュートに見えた。友助は訳が分からず聞いてみた。
「何故、俺が友助だと?あなたは?」
女性ははっとして、
「すみません。私、未松(みまつ)さんの元部下の望月亜由美と申します。名前も申し上げずにはしゃいでしまいまして申し訳ありませんでした。」
態度はキャリアウーマンらしく、丁寧だった。彼女は続けた。
「成田さんと分かったのは、未松さんに特徴を聞いておりましたので・・・。」
そう言ってくすっと笑った。
「特徴?」
友助はどんな自分が特徴なのか知りたかった。
「はい。いつも淡い感じのシャツに派手なネクタイで目立つのに、さらにサングラスで人目に気を使っている、ちょっと二枚目的な男性と・・・。」
まさしくビンゴである。さすがの友助も少し恥ずかしくなった。
「未松さんの方が仕事の都合で二時間ほど遅れるとの事で、私が代わりに相手をしておくようにと。」
亜由美は、結構好みである友助との対面を喜んでいた。
「結構二枚目って聞いてました。本当ですね。」
亜由美は楽しそうだが、
「何で直接連絡くれないんだろう?別に一人でも待ってるのに。」
独り言のように裕介が呟いた。
「大事な方なので、一人で待たせないようにと、暇だった私に電話があって。あ、私の家この近くなんです。未松さんとは前の会社の先輩と後輩の仲なんです。」
「前の会社?」
何でそんな人に頼むのか疑問だった。
「ええ、私も未松さんもその会社は辞めちゃったけど。」
何だか良く分からないが、遅れる事は分かった。
「ところで代わりの相手って?どんな?」
友助にとっては、未松以外はアルバイトではない事は承知の上だった。何より、未松が自分たちの事を他人に、ましてや元後輩に言うはずが無いと確信していたからだ。
「え?成田さんとのお話し相手ですよ。変な意味じゃありません。」
ちょっと困った様に亜由美は答えた。
「未松さんは必ず来るんでしょ?」
友助は仕方なく相手にしようと決めた。
「はい。未松さんは約束を守ります。きっと二時間後にはお見えになると思います。」
きっぱりと答え、続けて亜由美は質問してきた。
「失礼ですが、未松さんとはどのようなご関係ですか?」
自分から正体を明かす事も出来ない友助は、とっさに
「仕事上のお付き合いです。それと、俺と話している間は普通にしゃべって貰えないですか?名前も友助で構わないし。何か落ち着かなくて・・・。俺も普通に話すから。」
お客の未松も来ないのに、この亜由美の堅苦しいしゃべりが辛かった。さらに、今度は友助が質問した。
「未松さんとは良く逢うの?ところでいくつ?」
亜由美はあまり歳は言いたくない様子だったが、この二枚目との話のきっかけに教える事にした。
「26です。成田さん、あ、友助さんはいくつですか?」
まだしゃべりにぎこちない亜由美からの質問に、
「24だよ。それより『ですか?』なんてやめようよ。俺より年上だし。」
友助は少しにが笑いしながら提案した。亜由美は、友助の歳を聞いて、ますますラッキーと思ったのか、満面の笑みで答えた。
「うん。そうね。」
ちょっとかわいいと思ったが、お客の後輩には手は出せない。さらに、亜由美が言った。
「未松さんとは今日の電話が久しぶり。元気にしてるみたいで良かった。未松さんが結婚してしばらく経って、会社を辞めた以来かしら?当時、私達が居た会社はインターネット関連企業だったから、未松さんは発注元の会社の社長さんに気に入られて結婚したの。」
何気に言った亜由美の言葉に友助が反応した。
「え、未松さんって結婚してるの?」亜由美はまずいという顔をして、
「未松さんに、べらべら余計な事しゃべるなって言われてたんだ。『Mimatsu@』って知らない?結構インターネット業界では良く聞くけど。」
「でも何でそんな久々の君に連絡があったのかな?」
「たぶん、急に用事が出来て、一番私がここに近かったからじゃないかな?」
「それだけで!?久しぶりの相手に電話するかな?」
「未松さん、結構昔から忙しい時は私に場つなぎ頼んでたから。思い出したんじゃない?私がいるって。」
そう言って笑う亜由美。なんて人がいい奴なんだと友助は思った。そして未松が高額なバイト代を払える理由が理解できた。社長に気に入られて結婚ね。なるほど。だから金をいっぱい持ってるのかと。しかし、何故俺とあんな事を・・・?金持ちのお遊びかな?俺には分かんないな。そこで、亜由美が話を変えようと話し始めた。
「私、親が厳しくって、社会人になってから、あまり男の人とこんな所で話す機会なくって・・・。」
亜由美は少し苦笑いで話を続けた。
「未松さんとは仕事の付き合いだけど、私とは今はただの知り合いでしょう?」
友助は、ホテルのロビーでこの前振り、いったい何が言いたいのか悩んでいた。まさか未松が来るまで部屋を取るとか?二時間あるし・・・。
それは、ちょっとは嬉しいが、逆に金掛かりそうだし。その後未松の相手もある。それよりまずくないか?色々頭を巡る思いとは裏腹に、友助の予想とは違う答えが亜由美から返って来た。
「メルアド教えてくれませんか?」亜由美は何とかしてこの二枚目との関係を繋ぎたかった。
「あ、いいよ。別に。」拍子抜けした友助は、ついO.Kしてしまった。思えば、友助は年下が好きだった。しかし、場の成り行き上、アドレスを交換してしまった。
「本当は未松さんに、友助さんには手を出してはいけないって言われてたの。でも、私も今は一人だし。寂しいし。必ずメールするからね。」亜由美は嬉しそうに言ったが、友助はあまり乗り気ではなかった。しかし、このバイトに終止符を打った後、この人と遊ぶのも悪くないと思いかけていた。そう、全てはこの後が勝負だった。
さっき、バーで圭太にはあと何回かとは言ったものの、もう今日で終わりにしようと決めていた。
「君って友達いないの?あ、ごめん。そんな訳ないよね。」友助はとっさにフォローした。
「友達はいるけど・・・。親が彼氏を認めてくれなくて、大学卒業してからずっといないの。」友助も二ヶ月前に自分の親の金目当てで貢がされた彼女と別れて以来、彼女がいなかった。当然、親が金を出すほど甘い家庭ではなく、その借金のお陰で、バイトをする羽目になったのだ。
「それじゃ、一つだけ約束してよ。未松さんにはナイショだよ。」亜由美は喜んで言った。
「守ったらメールしてもいいの?」
友助は指でピースをして微笑んだ。亜由美は、絶対このチャンスを物にすると心に決めた。
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by deshi-mie | 2005-06-20 11:31 | 小説 第一章